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海、イベリア半島及びカナリヤ、アプレスの各地域)については、ロランC開発の為に資金援助をする価値があると見ている。バルチック地域においてロランCのカバー範囲を拡大することも現在議論されており、そして誰かが率先してこれに取り組むことが求められている。

 

9. 提案した戦略の形成に当たっては、技術上の発展も一つの役割を果している。研究の結果、衛星のディファレンシャル校正とインテグリティシグナルとがロランCのサービス地域全体に渡って送信できるということが分かった。(「ユーロフィックス」という接近方法が会議のプログラムの後半に紹介される予定である。)もしこの送信を広範な地域に渡って行うことができるならば、そして既存のインフラを効率的に利用してGNSS又はロランCシステムが故障を起こした時のバックアップ体制を整えることができ且つ精度も10〜20メートルに向上するならば、その将来性は非常に明るい。

ヨーロッパ宇宙局は暫定的にではあるが、ロランCがGNSSのインテグリティを改善する能力を持っていることを認めており、より詳しい調査をした上で最終結論を出すことにしている。このように調査を更に深めることは確かに重要である。その理由は、ロランCに対する評価が両極端に別れているからである。賛成派は、ロランCの価値について、外見上説得力のある説明をするが、これに対して反対派はロランCはヨーロッパではそれが最も良く機能している場所でもあまり利用されておらず、この陳腐化したシステムをサポートする為に時間やお金を浪費する必要はないということをやはり同じような説得力を持って語るからである。

 

10. それに加えて、ロランCを追尾やトレーシングなどの特殊業務に利用しようという動きが新しい機会を提供することになるであろう。

 

11. しかしながら、これらの可能性を最大限に引き出す為にはGNSS/ロランCを組合せた適切な受信機の開発が欠かせないであろう。この件に関しても、当委員会は、適切な機器の開発の援助方法を検討中である。

 

12. 当委員会の立場はまだ最終的なものではない。そして私のこの報告では当委員会の現在の立場を準備段階で評価することしかできない。この会議の結果によっては、その立場がもっと明らかになるかもしれない。

しかしながら当委員会の目下の見解は、ロランCが少なくとも中期的には測位と航法ネットワークにとって利用価値の高い構成要素となり得る可能性を持っているということである。

 

 

 

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