1) 左右各脚の最大等尺性膝関節伸展筋力と年齢との間には有意な負の相関がみられた。
2) 左右各脚の最大等尺性膝関節伸展筋力とCFP動揺、各条件でのTL,ML間には有意な相関は認められなかった。
3) CFP動揺と年齢間には有意な関係はみられなかったが、左右方向0.5Hz時のTLと年齢間には1%水準で有意な相関が認められた。
4) 60歳以上の被検者で従来の体力測定項目について測定した結果、TL,MLと比較的相関がみられたのは反復横跳びであった。
5) 移動視標追従により動的姿勢調節能力を評価するのは可能であると思われるが、精度を高めるためにはより詳細な検討が必要である。フィールドに応用できる方法としては反復横跳びを修正した形のものが可能かもしれないが、今後の研究が必要である。
謝辞:本研究の遂行に際しては、測定および資料整理に関して東京女子大学大学院生竹谷朋子さんの協力を得た。また、被検者として杉並区および武蔵野市に在住の皆さんと国分寺市シェイプ友の会の指導者中村和子さんと会員の皆さんの協力を得た。本研究の一部は東京女子大学女性学研究所の研究助成を受けて行ったものである。記して深く感謝します。
文献
1) 浅井仁、藤原勝夫:姿勢調節能の高齢者と若年者との比較。永田編『生体・運動のシステムースポーツスキルの向上−』第12回日本バイオメカニクス学会、pp.367-380.1995.
2) Falls,H.B:Modern concepts of physical fitness.JOPER 51(Apri1):25-27, 1980.
3) 藤原勝夫、池上晴夫:足圧中心位置と立位姿勢の安定性との関係について。体育学研究26:137-147, 1981.
4) 藤原勝夫、池上晴夫:床振動時の立位姿勢の応答特性、体育学研究29:251-261, 1984.
5) 藤原勝夫たち:老人の平衡機能の適応能の評価、デサントスポーツ科学13:262-271, 1992.
6) 藤原勝夫:平衡機能の老化、藤原ら編『身体機能の老化と運動訓練−リハビリテーションから健康増進まで−』日本出版サービス、pp.121-130, 1996.
7) 岩間研典たち:成人女性の運動能力の加齢変化とその測定に関する研究、体育科学24:168−177, 1996.
8) 岩間研典:中高年齢女性の日常身体活動水準、身体作業能力に及ぼすトレーニングの影響、体育科学25:167-174, 1997.
9) 内藤久土:高齢者のバランス能力、宮下・加賀谷編著『からだの「仕組み」のサイエンス』、杏林書院、pp.97−102, 1997.
10) 東京都立大学体育学研究室:日本人の体力標準値、第4版、不昧堂、1989.
11) 畝正二たち:中高年齢者の労働災害防止のための平衡機能に関する調査研究。労委研:63-68, 1989.
3年間のまとめ
岩間 研典
近年、身体的機能の低下の度合いを評価することを意図して、壮年体力テスト等に準拠しながら、高齢者の体力実態に即した内容および方法に改良した測定法が開発されてきている。また、従来の「運動能力に関連した体力」(motor-related fitness)の観点からではなく、高齢者の日常生活動作に関連した動作から「生活体力」を評価しようとする方法も試みられるようになってきている。日常生活の活動能力を評価しようというこのような試みは、「体力」を「健康に関連した体力」(health-related fitness)から考えようとする流れと基本的に一致している。「健康に関連した体力」としては4つの大きな要素があげられているが、具体的にどのような測定項目が適切であり、フィールド