「意識姿勢」の違いについて、津山ら16)は簡易姿勢計を用いた調査において、成人では脊柱彎曲は個人によりでき上がった不可変のもので、「弛緩姿勢」と「緊張姿勢」では頸椎部分しか変化しないとしており、鈴木ら13)は背部のモアレ撮影により、「安楽姿勢」と「兵式姿勢」において、青・壮年の脊柱彎曲の形状は変化するが老人は変化しないとしている。今回はどの年代についてもA(凹)型ばかりであったが、「リラックス姿勢」と「意識姿勢」とでは様々な点で違いがあった。写真3(中年者)の例でみれば、「リラックス姿勢」は「意識姿勢」よりも背中が丸く、そのため頭部の位置を安定させるため、また前方を向くためにあごが前に出た姿勢となっていた。「意識姿勢」では背すじが伸びていて、あごも引かれていた。高齢者についても若年者、中年者と大きな違いはなかったが、体操前「リラックス姿勢」において、膝がほんの少し曲がっている例が1名あった。しかし、体操後「リラックス姿勢」や「意識姿勢」では伸びており、このことは股関節を伸展させる殿部の筋の使い方なども関連し、骨盤角度や脊柱形状も関係していると考えられる。
長座位での胸・腹部の型については、各人の体型の違いが他の場合よりも大きく姿勢に影響し、その判定は難しかった。腹部の出具合をみる際には、両腕を挙止している図1−?Hの写真が腹筋の使い方をよくあらわしており、参考になった。体操前後の違いを写真4(中年者)の例でみると、体