をおこなった。また、「リラックス姿勢」と「意識してつくったよいと思う姿勢」を比べることにより、姿勢に対する注意を与えることの効果をみた。調査には姿勢計測のための特別な道具を用いず、つまり定量はおこなわず、10種類の姿勢を側方から撮影したVTRの静止画像のみを用いて体幹姿勢を定性し、判定した。
研究方法
1. 被検者と姿勢の記録方法
都市在住の18〜69歳の健常女性45名(18〜20歳の若年者:15名、40歳代、50歳代の中年者:15名、60歳代の高齢者:15名)を対象とした。研究目的と方法を説明し、同意を得た上で、図1に示した?@〜?Iの10姿勢を側方より8mmビデオカメラ(SONY video Hi 8 CCD-SC 9)で撮影した。
?@ 直立位「リラックス姿勢」
?A 直立位「意識してつくったよいと思う姿勢」
?B 立位上体前傾90°
?C ?Bの姿勢で両腕水平挙上
?D 立位体前屈
?E 立位体後屈
?F 長座位「リラックス姿勢」
?G 長座位「意識してつくったよいと思う姿勢」
?H ?Gの姿勢で両腕挙上
?I 長座体前屈
以上の10姿勢を体操前と体操直後に記録した。「意識してつくったよいと思う姿勢」については、以下「意識姿勢」と略す。
これらの姿勢の指示は検者である女性インストラクター1名の言葉による最小限のもので、例えば直立位の?@では“リラックスしてください”?Aでは“よいと思う姿勢をしてください”といった言葉のみで、“背すじを伸ばしてください”“胸を張ってください”などといった具体約な指示はおこなわなかった。それぞれの姿勢について、静止したと判断できた際に若干の間をおいて次の姿勢に移行した。
なお、撮影に際してそれぞれの被検者の第七頸椎、胸椎最後彎部、腰椎最前彎部、上前腸骨棘、上後腸骨棘の計5カ所に発泡スチロ一ルの立体約なマーキングを付けた。
2. 体操の内容
姿勢の変化をみるためにおこなった体操は図2のとおりで、
(1) 長座位で上体を引き上げる
(2) 開脚座位で胸を張る(左右)
(3) 開脚座位で背を伸ばす(左右)
の3種類をそれぞれ20〜30秒間、2回ずつ、合計5分間ほど実施した。この体操では、検者が体操のポイントの説明を含めた実演による指導をおこなった。
3. 姿勢の分類と比較方法
撮影したVTRより、それぞれの姿勢で安定している状態の画像をプリントアウトし、側方から見た胸・腹部の型により、
a:胸張腹引型(凸凹型)
b:胸張腹出型(凸凸型)