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13) 岡本勉たち:筋電図からみた原始歩行、体育科学 24 : 79-88, 1996.

14) 岡本勉たち:筋電図からみた独立歩行初期の特徴、体育科学 25 : 79-88, 1997.

15) Sutherland, D. H., et al. : The development of mature gait. The Journal of Bone and Joint Surgery 62-A(3) : 336-353, 1980.

16) Thelen, E., and D. W. Cooke : Relationship between newborn stepping and later walking. Dev. Med. Child Neurology, 29 : 380-393, 1987.

17) Thelen, E., et al. : The Developmental origins of locomotion. In : Development of posture and gait across the life span : Woolacott, M. H. et al.(Eds), University of South Carolina Press, South Carolina, pp. 25 45, 1990.

 

3年間のまとめ

岡本 勉

 

「筋電図からみた歩行の発達過程」

過去3ヵ月間にわたり歩行の発達過程を、「筋電図からみた原始歩行」(1996)、「筋電図からみた独立歩行初期の特徴」(1997)、「筋電図からみた歩行開始期の特徴」(1998)の研究テーマで検討した。1年目は、歩行の起源と考えられる原始歩行(反射歩行)について、新生児期と乳児期の特徴を下肢筋の筋電図から検討した。2年目では、前年の研究結果から、歩行バランスに大いに関与すると思われる足関節筋に焦点をしぼり、歩行の習得過程(歩行習得1日目〜歩行習得5ヵ月頃)の筋電図的発達変化を検討した。3年目は、前年の研究結果から、特に歩行開始期(歩行習得1カ月頃まで)に、かなりのバリエーションが認められた。そのバリエーションが起因する要因を解明するため、独立歩行開始期(歩行習得1ヵ月頃まで)に注目し、足関節筋に加え膝・股関節筋についても筋電図記録し検討した。以下、それぞれの時期の筋電図的特徴を述べる。

 

1. 新生児・乳児原始歩行の筋電図的特徴(1996)

新生児・乳児原始歩行の筋電図パターンを全体的にみると、接床期の下肢筋の放電様相は顕著な発達的変化はみられず、両時期とも以下のような筋電図パターンを示した。すなわち、着地直後からpush offの間、中腰姿勢保持のため膝・股関節筋では、膝屈曲位保持(中腰)に働く一関節筋の内側広筋に強い放電がみられた。この間、体前傾姿勢保持に働く二関節筋の大腿直筋には放電はみられず、拮抗筋である大腿二頭筋に放電がみられる相反パターン、体後傾姿勢保持に働く大腿直筋と大腿二頭筋の逆相反パターン、体直立姿勢保持に働く大腿直筋と大腿二頭筋の同時放電パターンが混在する3つのタイプの歩行制御パターンが認められた。上記各種中腰保持姿勢(膝屈曲位で上体の各種姿勢)のバランスコントロールのため、前・後傾保持に働く腓腹筋と前脛骨筋の相反パターンと、足関節固定に働く両筋の同時放電パターンが認められた。

しかし、離床期の放電様相では新生児期・乳児期において次のような発達変化が認められた。新生児原始歩行前期(誕生2週頃まで)においては、離床期前半では、足・膝・股関節は強く屈曲されながら大腿が高く挙上され、離床期後半では足背屈を保ち、膝・股関節ではゆっくり受動的に伸展される放電様相を示した。特に着地前、不安定さを示す内側広筋、腓腹筋の強い放電様相(下肢のパラシュート反応パターン)がほとんどみられないことから、新生児前期の原始歩行は不安定さを感じず平衡感覚がまだ十分成熟していないものと考える。新生児原始歩行後期(誕生2〜4週頃)においては、ごく一部であるが、離床期後半、積極的な脚伸展を示す内側広筋、腓腹筋の強い放電様相(下肢のパラシュート反応パターン)がみられた。乳児期原始歩行期(生後1〜4ヵ月頃)におい

 

 

 

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