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加状況と関連をもっていること、参加状況の3形態の区別という点からはむしろ開放性の方が識別力が高いということができる。

性別の分析結果から、男子で有効性が、女子で開放性が現在のスポーツ参加状況と関連をもっていた。男子では、より有能な指導者であったとの意識が、女子ではより開放的な指導者であったという意識が、現在のスポーツ参加状況に影響を与えていると考えることができる。これは、伊藤7)がコーチの社会的勢力の効果に及ぼす選手の個人特性の影響についての研究で、男子ではコーチの指導意欲勢力や利益勢力がコーチの影響力の強さの認知と関連をもっていると報告していることや安藤8)がこれまでの研究の紹介として女子は性役割との関係で自己開示の大きさを高く評価する傾向をもっていると示唆していることとも関わりがあるものと考えることができる。

種目別の分析では、個人種目で効果性が、集団種目で開放性が現在のスポーツ参加状況と関連をもっているということができる。個人種目では自分の個人の競技成績に直接影響を与える指導者の効果性が重要であり、集団種目では多くのメンバーのうち自分と指導者との関係がいかに緊密であるかを代表するものとして開放性が重視されていることがこの結果に反映していると考えることができる。

本研究における指導者の効果性・開放性と現在のスポーツ参加状況との関連の分析は、次の諸点で十分でない部分があると考えられる。?@開放性の調査法が多分に表面的である。より深い意味での開放性を生徒と指導者からの双方向的な手段で明らかにする必要がある。?A性別、種目別の分析は、今回のデータ数では不十分であるかもしれない。より多くのデータを用いて安定した結果を得るようにしなければならない。これらについては、今後の検討課題としていきたい。

 

4. 前回の調査の7因子と本研究の5因子との関係について

前回の調査では、因子分析の結果7困子が抽出されたが、本研究では5因子となった(図7)。本研究の指導者の効果性、技能や能力の側面での充実感、活動の主体性、部(チーム)への満足感は、前回抽出された7因子のうち関連する内容の因子と1対1で対応していたが、社会・心理面での充実感は、3つの因子(運動部活動の楽しさと満足感、運動部内での人間関係、運動部活動に関する周囲の評価)の集まったものであると考えることができる。

 

 

 

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