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試体と比べ容積が大きいことが挙げられる。

吸油量は、供試体の重量が重いほど多い傾向を示しているが、その差は小さい。

4) 単位重量当たりの吸油量(g/g)及び単位容積当たりの吸油量(g/cm3)

本調査研究は、型式承認されている油吸着材の高粘度油に対する吸油性能について実施した。その性能評価について舶査第52号の判定基準を用いるのは、動粘度及び静置時間が異なり適切ではないと思われるが参考のために求めた。その結果を表1-3及び表1-4に示す。

表1-3及び表1-4中、上記の判定基準値に達した箇所に網掛けをした。また、表1-3に示すアンダーラインのある箇所は、判定基準値を共に満たしているところである。

? 温度5℃では、供試体3(PP材)のみが静置時間120分で判定基準値を共に満たしている。

? 温度10℃及び同15℃では供試体9(古紙綿+PP袋)が、また、同10℃では供試体10(麻)が両判定基準値を満たさなかった。他の供試体は温度10℃及び同15℃とも、静置時間に長短はあるが判定基準値を共に満たしている。

各供試体とも温度が高くなる(粘度が低くなる)ほど、判定基準値に達する静置時間が短くなる。

5) B重油及びC重油の吸油性能

舶査第52号のB重油(試験温度20℃、比重15/4℃ 0.90〜0.91、動粘度100cSt)の吸油量を計算上求め、参考まで図1-11及び図1-12中に記した。

この結果によれば、B重油の吸油量は供試体8(綿)及び供試体9(古紙綿)が高粘度油より高い吸油性能を示したが、他の供試体は温度10℃または同15℃の吸油量より下回っている。B重油とC重油(比重15/4℃ 0.971)とでは、比重及び粘度等の物性が異なるが、吸油性能には特に粘度が大きく影響する。

本調査研究では、毛管現象による油の浸透と油の付着現象を併せて吸油として表現しているが、温度別に見ると次の現象が観察されている。

C重油-温度 5℃(動粘度49,000cSt)・・・主に付着で、毛管現象による油の浸透はほとんどない。
C重油-温度10℃(動粘度17,000cSt)・・・主に付着であるが、毛管現象による油の浸透も現れる。
C重油-温度15℃(動粘度8,390cSt)・・・付着と浸透の共存。
B重油-温度20℃(動粘度100cSt)・・・主に毛管現象による浸透で、付着はほとんどない。

供試体9はPP材の袋に古紙綿が封入されており、高粘度油に対しては(1)で述べたように、この袋により油の浸入が妨げられるが、低粘度では古紙綿に油が浸透し吸油量が多いことから、この油吸着材は低粘度の油回収に適していると言える。

6) 試験片1枚当たりの吸油量(g/枚)と単位重量当たりの吸油量(g/g)及び単位容積当たりの吸油量(g/?3)との関係

本調査研究では試験片1枚当たりの吸油量を用いて各供試体の性能を評価したが、

 

 

 

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