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3) 材質等の違いによる吸油性能

油吸着材の材質等は表1-1及び写真1-1〜写真1-10bに示すように、供試体1〜同6ではPP材の繊維の状況が棒状または捲縮状であったり、直径がほぼ同じものや直径が異なる繊維が不規則に絡み合っている。供試体7はカポック、供試体8は綿の単一製品である。供試体9はPP材の袋に古紙綿を封入しており、また、供試体10は麻を格子状に編み上げ、PP材でサンドイッチ状にしたものである。

このため、供試体9及び同10は複合製品であることから、この項目での評価は実施しないこととした。

図1-11に各温度における試験片1枚当たりの最大吸着量(g/枚)と供試体の重量(g)との関係を、図1-12に同じく試験片1枚当たりの最大吸着量(g/枚)と供試体の容積(?3)との関係を示す。これらの図から次のことが言える。

? 温度5℃

各供試体の最大吸油量の範囲は32.1g(供試体3-PP材)から23.7g(供試体7-カポック)でほぼ30g前後である。写真1-12aから写真1-12fに供試体5(PP材)の吸油状況を示すが、静置時間10分では油が供試体に点在した状況で付着している。静置時間30分になると、ほぼ試験片全面に吸油し、同60分以降では平衡状態となる。

写真1-12a及び同1-12eは、静置時間10分と同120分の下面(油に接した面)の吸油状況で、写真1-12fは同120分の上面(油に接していない面)である。

これらの写真及び観察から、毛管現象で吸油されている部分が極僅かで、大部分の油は供試体に付着していることが分かった。

このことから供試体の重量、容積及び材質の違いによる吸油量の差がほとんどないこと、さらに静置時間が1時間以上であると油吸着材全面に油が付着することが分かった。

? 温度10℃

供試体5を除く他の供試体の最大吸着量の範囲は、46.7g(供試体1-PP材)から34.5g(供試体8-綿)である。

写真1-13a及び同1-13bは、供試体5の静置時間120分における下面と上面の吸油状況である。温度5℃よりは毛管現象による吸油が多くなっているのが観察されるが、上面まで油が浸透していない。供試体5の吸油量は静置時間120分で84.9gと他の供試体と比べ約2倍となっている。この要因として、供試体5の試験片の厚さは他のPP材に比べ約2倍あり、吸油容積が大きいことが挙げられる。

温度10℃では、毛管現象による吸油と付着による吸油が混在した状況と言える。

? 温度15℃

供試体4及び同5(共にPP材)を除く他の供試体の最大吸油量の範囲は、62.5g(供試体8-綿)から44.6g(供試体3-PP材)で、その差は約18gである。

供試体4及び同5の吸油量はそれぞれ73.8g及び96.2gで他の供試体と比べ吸油量が多い。この要因として、供試体4は容積が小さい部類に属しているが、繊維が捲縮状であることが一因と推察される。また、供試体5は前項で述べたとおり他の供

 

 

 

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