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求め、この平均値をもって性能を評価することとした。

吸油量のバラツキは、試験片の寸法、重量及び厚みが僅かずつ異なっており、これらのバラツキが吸油量の差となって現れているものと思われる。また、この吸油量のバラツキはB重油でも見受けられる。

試験の結果を表1-2〜表1-4、図1-3〜図1-14及び写真1-12a〜写真1-13bに示す。

1) 温度(粘度)変化による静置時間と吸油量の関係(図1-3〜図1-7)

? ほとんどの供試体は各静置時間において温度の上昇(粘度の低下)とともに吸油量が増加するが、図1-3に示す静置時間10分における供試体9(古紙綿+ポリプロピレン袋)は温度の上昇とともに吸油量が僅かながら減少した。この減少の要因として次のことが考えられる。

供試体9はバラ状の古紙綿をポリプロピレン(以下「PP材」という。)の袋に封入したものであり、10分程度の静置時間では油が古紙綿まで浸透できず、PP材の表面に付着した状態であった。このような状態で、5℃(動粘度49,000cSt)、温度10℃(動粘度17,000cSt)及び温度15℃(動粘度8,390cSt)と動粘度が低くなった場合、PP材表面に付着した油の放置中(5分間)に離脱する量は多くなり、このためこのケースでは、温度5℃の吸油量の方が高い結果となったものと推察される。

また、図1-4に示す静置時間30分における供試体4(PP材)は、温度の上昇とともに一旦吸油量が減少し、再び増加する傾向を示したが、このケースについては、前述したように試験片寸法等のバラツキによるものと思われる。

? 全般的に各静置時間において温度5℃のときの吸油量が多い供試体は、温度が10℃、同15℃と変化しても吸油量が多い傾向を示す。

? 供試体9は、各静置時間及び各温度においても吸油量が他の供試体と比べ全般的に少ない。

2) 静置時間変化による温度と吸油量の関係(図1-8〜図1-10)

? 温度5℃(図1-8)

各供試体とも静置時間30分までは吸油量が急増しているが、その後は微増または平衡状態となる。静置時間120分と同60分との各供試体の吸油量の差は、次のとおりである。

吸油量5g未満  吸油量5g以上10g未満  吸油量10g以上
供試体2 (4.7g)  供試体1 (8.2g)  供試体10 (12.2g)
供試体4 (0g)  供試体3 (6.6g)
供試体5 (1.4g)  供試体6 (8.5g)
供試体9 (2.9g)  供試体7 (5.2g)
  供試体8(7.4g)

上記に示すように供試体4以外は全て微増の傾向を示し、中でも供試体10は12.2gと差が大きい。また、静置時間120分と同 90分との吸油量の差は、供試体10が最大11.6gでその他の供試体は5g未満または増減なしである。

 

 

 

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