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写真2はカリニ肺炎です。AIDSで一番多い日和見感染症です。患者は発熱,咳,呼吸困難を訴えて入院しました。両肺に淡い陰影があって,気管支肺胞洗浄という検査で洗浄液を調べてニューモシスチス・カリニが検出されて確定診断したわけです。ST合剤を使って治療します。ST合剤によるカリエ肺炎の治癒率は約80%です。ただST合剤のサルファ剤にアレルギーを示す人が多く,この人もそうでしたが,そのような場合はベンタミジンを使います。ベンタミジンでも治癒率は75%といわれています。大部分は治り得るわけです。この患者も軽快して退院しました。ただ,一部のカリニ肺炎の患者は合併症として肺に嚢胞性の変化,袋状の変化が続発して起こることがあります。両方の肺でそれが破れて気胸を起こしてICUに入院した患者がいましたが,そのため死亡しました。

 

 

 

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