あまりリスクが高くないと考えられる人にはそれほど勧めないわけです。
15.AIDSの臨床
これで一応本日のテーマについては触れましたが,AIDSはいま話題になっていることでもありますので,写真をご覧に入れながら詳しく説明しましょう。写真1は内科病棟です。私の勤務していたニューヨークのベス・イスラエル病院は1,000床の総合病院ですが,100人くらいのAIDS患者が常に入院しています。内科の病棟の約4割はAIDSの患者で,ニューヨークではどの病院もAIDSはたいへんありふれた病気になっています。ドクター・ミルドバンは感染症科のチーフで,この病院の最初のAIDS症例を報告した人ですが,この方が十数年前妊娠中だったときにAIDSの患者を担当して何か影響があるのではないかとたいへん心配したそうです。もちろん,生まれた子供には何の影響もありませんでしたし,当時と違って現在はAIDS患者に対して診療拒否的な態度をとる医療従事者はほとんどいません。
AIDS患者が常に100人くらいいますので,AIDS病床が12床ありますが,一般病棟に入院する人がより多いわけです。そういう人たちは特別扱いを受けるかというと,そうではなくて,多くの患者は他の病気の人と一緒に2人床,3人床,4人床の部屋に入る場合が多いのです。個室が適用になるのは結核の人,あるいは結核の疑いのある人であり,呼吸器隔離をします。そのほか,その人の合併症が重いとか,感染性の浸出液が出ていて,それがコントロールしにくいなどの状況があるときは個室に入るわけです。それ以外は大部分一般床に入ります。
それぞれの病棟で主治医のチームがありますが,そのほかに感染症の専門医,精神科医,ソーシャルワーカー,ナース,栄養士などがAIDSチームをつくっています。これが3チームあります。一つのチームが大