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頸癌になった。それでその男性の精液から検出されたヒトパピローマウイルスと,奥さんであった2人の女性の癌から検出されたウイルスが同じタイプだったのです。つまり男性がヒトパピローマウイルスを女性に感染させることによって子宮頸癌を起こしていた可能性が疑われるわけです。子宮頸癌がすべてヒトパピローマウイルスで説明できるわけではありませんが,一部にはそのようなウイルスによるものもあるということです。

尖圭コンジローマを起こすウイルスと子宮頸部癌を起こすウイルスは別のタイプだから,コンジローマの人は癌の心配はないという安心はできません。尖圭コンジローマの人でも2種類以上のウイルスを持つ可能性があるので,まったく癌について心配がないわけではありません。

 

6.HIV感染症

HIV感染症ですが,これも性行為で感染するので,異性間性交渉による感染のケースがふえてきています。1回の性交での感染率は0.1〜1%といわれていますが,もしどちらかのパートナーが他の性感染症を持っていると,この感染率はもっと上がります。

 

7.B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルス

B型肝炎も性行為で感染します。散発性に起きる急性B型肝炎の77%は性行為によるものといわれています。たとえばある男性がB型肝炎で入院しましたが,よく聞くと3カ月前に東南アジアで性行為を行ったということでした。東南アジア,中国などではB型肝炎ウイルスのキャリアーが多いのです。日本も欧米よりは比較的多いのですが,東南アジアやアフリカではさらに多くいます。

予防は可能です。配偶者の片方がHB抗原陽性のキャリアーであった

 

 

 

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