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場合,そうでない配偶者の人はB型肝炎ワクチンを接種すればいいのです。ワクチンでB型肝炎抗体(HBs抗体)をつくればまったく結婚は問題ないわけです。また夫婦間ではもう片方のパートナーが必ずしもB型肝炎を発症するとは限りません。多くの人は自然に抗体ができるからです。唾液とかさまざまな形で少しずつウイルスが入って,肝炎を発症せずに自然にHBs抗体ができて,B型肝炎についてはまったく防御されて問題ないというケースも多いのです。B型肝炎ウイルスのキャリアーの中でとくにHBe抗原陽性者は血液や体液を介して他人に感染を起こす率が高いわけですが,HBe抗体陽性者は感染を起こす率が低くなります。

C型肝炎はB型肝炎ほど感染力は強くありません。しかし,長期的に見るとC型肝炎ウイルス陽性の配偶者間での伝播は見られるようです。夫から妻への感染が44%,妻から夫への感染が40.7%というデータがあります。しかしみんながC型肝炎として発病しているわけではなくて,なかには治ったあとの状態という人もあると思われます。

 

3.成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)

それから成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-l)ですが,HTLV-1感染者の夫から妻への感染は10年間で60%といわれています。妻から夫への感染はまれといわれています。また,成人になってからHTLV-1の感染を受けても,成人T細胞白血病やT細胞リンパ肉腫を発病することはないといわれています。

生後間もなく母親からの母乳を介してHTLV-1に感染した場合に,一生の間に発病するリスクは男性4.5%,女性2.6%ですが,成人での感染はほとんど問題ありません。ただし,まれに起こる神経系などの合併症はないとはいえません。

 

 

 

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