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時などにウイルスは神経に沿って外部に出てきて,局所に再発性の病変を起こすのです。このような再発は一生にわたって繰り返す可能性があります。それがこの病気のつらいところです。しかも他の人に局所の接触によって感染させる可能性もあるのです。

治療薬としてはアシクロビルという薬が用いられます。これを発症後48時間以内に使うと症状経過を短縮できますが,根治はできません。再発を繰り返しやすい人は,アシクロビルを予防的・継続的に内服してもらう場合があります。

 

5,ヒトパピローマウイルス

ヒトパピローマウイルス感染は尖圭コンジローマといいます。性器のイボです。これはヒトパピローマウイルスによるもので,主に6型と11型が起こします。感染者は局所の病変がない部位にもこのウイルスが潜んでいる可能性があります。これも接触によりパートナーに高率(約3分の2)に感染を起こします。治療としては外科的切除,電機焼灼,液体窒素の凍結療法などが行われますが,それでもなかなか根治はできません。

最近,ヒトパピローマウイルスが注目されているのは,子宮頸癌の原因となっている場合があるということです。ヒトパピローマウイルスの16型,18型,31型,45型などが子宮頸部癌から検出されていて,男性では,陰茎痛,舌癌,咽頭癌、膀胱癌などから検出されます。これも性行為感染症として感染するわけです。たとえばヒトパピローマウイルス16型陽性子宮頸癌患者のパートナーの精液を調べると,約3分の1に同じタイプのウイルスが検出されたとのことです。

またこういう例があります。ある男性の奥さんが子宮頸癌で亡くなりました。その男性が別の人と再婚して,その再婚した相手の女性も子宮

 

 

 

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