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それから二次的に汚染された水とか食物,ミルクからも感染が起こり得るようです。とくに牛の堆肥を使って食物を栽培したりすることによって,その食物等が汚染される可能性があるといわれています。たとえばアメリカで汚染されたアップルサイダーからこの感染の流行が起きた例がありましたが,その場合はリンゴを取ってその場ですぐにボトルに入れてジュースにしていたようですが,どうやらそのリンゴの木に使われていた堆肥に牛の便を使っていて,それがもとで二次的にリンゴが汚染されて感染したのではないかといわれています。また,池で泳いで感染した例があって,その場合も池の水が牛の便などで汚染されていて感染したのではないかと推測されているようです。

 

2.二次感染

感染した人から人への二次感染も起こります。この菌は比較的少ない菌量でも感染を起こし得ます。ほかの病原性大腸菌では感染を起こすのに100万個以上の菌を摂取しないと下痢症状を起こさないといわれているのですが,このタイプの病原性大腸菌は1,000個未満でも感染を起こし得る。なかには50個位でも感染を起こした例もあり,感染力が非常に強い菌です。

 

3.病態機序

感染後の病態機序は以下の通りです。菌が結腸粘膜に付着・増殖してベロトキシンを出して,そのトキシンが血管の内皮細胞を障害するといわれています。そのために結腸の血管の内皮細胞が障害されて,出血性の腸炎が起こる。また,このトキシンが血中に入っていろいろな臓器の血管の内皮細胞が障害される。血管内皮が障害されると,その血管を通

 

 

 

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