日本財団 図書館


3.菌の特徴

次にそれぞれの菌ごとに特徴についてお話ししましょう。

1)サルモネラ菌

最初にサルモネラです。Salmonella enteritidis,Salmonella typhimuriumなどがあります。サルモネラは豚や牛や鳥などの動物が持っている菌ですから,この菌で汚染された食品を食べることによって人に感染が起こり得るわけです。とくに生卵や生卵で調理したもの(生クリーム等)を介して感染する例が時々あります。それから肉類です。焼き鳥の肉なども汚染されている場合,よく熱を通さないと感染が起こり得ます。それから二次的に人から人への伝播も起こり得ます。

潜伏期は6時間から3日とされています。下痢,嘔吐,腹痛,発熱等の症状が典型的ですが,重症者や免疫が低下している人では菌血症を起こして他の臓器に感染が及び,骨髄炎,肺炎等を起こすことがあります。

先日,御殿場のある老人医療施設で急性の胃腸炎の症状を訴える患者が続出して,110人の入所者中75人(この中には職員も数人含まれていました)が下痢,嘔吐,発熱などの症状を起こし,数人はやや重症で他の医療施設に転入院しました。そこで検出された菌はサルモネラだったそうです。

どういうルートで感染したかを保健所で調べたところ,下痢を起こした人が共通して食べていた食品は生卵をまぜた納豆だったそうです。その生卵がサルモネラ菌で汚染されていた可能性が高いと考えられます。幸いなことに,全員生命にかかわることなく軽快しました。

しかし,なかには非常に重症になることもあります。先日のニュースで報道されていましたが,家族4人が急性胃腸炎症状で激しい下痢等を起こして,そのうち一人の中学生が夜通しずっと下痢を起こして,翌朝になって医療施設に行ったころにはもう虫の息で,とうとう亡くなって

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION