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ナースのための最新感染症学

 

古川 恵一

聖路加国際病院感染症科医長

 

?. 細菌性腸炎(細菌性食中毒)

 

最初に細菌性腸炎(細菌性食中毒)についてお話しします。細菌性食中毒は6月から10月にかけて起こりやすい疾患です。食中毒の中には細菌性食中毒以外にも魚介類のフグや毒きのこなどによる食中毒も含まれます。その中でも細菌性食中毒が全体の約85%を占めています。

 

1.細菌性食中毒の原因

では,どういう菌が細菌性食中毒の原因になるのでしょうか。表1は1994年のデータですが,一番多いのはサルモネラです。14,410人,全体の48.2%を占めています。二番目が腸炎ビブリオで約20%,三番目が病原性大腸菌で10.8%です。ここに示されている病原性大腸菌には,いま問題になっているO-157だけではなく,ほかにも4種類くらいある病

 

 

 

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