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ま え が き

 

感染症は微生物によって起こる病気です。微生物には,ウイルス,細菌,リケッチア,真菌,原虫などがあります。人に感染を起こす微生物の中には昔から存在していたものも多くありますが,近年に新しい性質を獲得した微生物や,以前には見られず,最近起こってきた新しい微生物も認められるようになりました。抗生物質や抗ウイルス薬など感染症の治療薬は進歩して,治療できる感染症の範囲が広がってきました。しかし,一方では微生物も薬剤に耐性を獲得したり,もともと薬剤の効かないタイプの微生物による感染が新たな問題となってきています。このように,医学医療が進歩しても,人類にとって感染症の問題は形態を変えながらいつまでも続くように思われます。そして,すべての科の医療において感染症の問題は存在し,感染症は医療の重要な領域を占めています。

感染症について正しい理解と知識を持って,感染症に罹患しないようにできる限り予防に努めることが大切です。また各種感染症に罹患した場合は,できる限り早期に診断し,適切な治療やケアを行うことが重要です。また広がり得る感染症の場合は,できる限り他の人に感染が広がらないようにコントロールすることも大切です。

この感染症のセミナーでは,細菌性腸炎と大腸菌O-157感染症,性感染症,HIV感染症とAIDSについて私がお話しし,そのあと当院の感染管理婦長から実際に病院で行うべき感染対策について,ナースにできることというテーマでお話しいたします。

これらの重要な感染症とその対応について,皆さまに正しい理解をもっていただき,知識をより深めて,今後の医療に生かしていただくことができれば幸いです。

古川 恵一

 

 

 

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