これは誤った理解によるその病院の内部規程ですから,理解を得て内部の規程を直していくしかないと思います。国の法律では,正しく麻薬が使われる限り,投与量を制限するようなことはありません。各病院での内部に規程がモルヒネを使いにくくしているなら改善すべきです。
――胸腺腫の脳転移です。塩酸モルヒネ10mgを100mlの生理食塩水で4時間おきに約30分かけてIVHから静注しています。そのほかにボルタレンズポを使っています。モルヒネの効果がないわけではないのですが本人に満足感がないのです。どのように対処したらよいでしょうか。
モルヒネを使っていて痛みが消えていても本人に満足感がないとすれば,痛み以外に問題があるのでしょう。それとも痛みがまだ消え切っていないのかもしれません。もし痛みが残っているなら,モルヒネを増量するか,他の薬を追加するか,その痛みの性質によって判断します。
痛みが消えていても患者さんが満足しないとすれば,痛み以外の身体の問題,心の問題,経済の問題などを抱えているのかもしれません。患者さんと話してみれば察知できるでしょう。その解決を図るのが大切です。
――モルヒネの増量のペースについてですが,たとえば外来のときに1週間に1回ずつの増量では時間がかかってたいへんではないでしょうか。
長い間強い痛みに悩んできた患者の痛みの場合は,痛い人にとっては緊急事態なのです。急患がきたのと同じように対応すべきです。2時間も3時間も痛いまま廊下に待たしておくことは救急車できた患者を放置しておくのと同じことです。早く痛みをとることが大切です。1週間ご