すと効果が増強しなくなります。そのときにはモルヒネに切り替えます。効力比はモルヒネ1に対してレペタンは60〜80です。1mgのモルヒネが1しか上げない効果をレペタン1mgは60〜80倍上げます。ですから使う量は0.1mgとか0.3mgとか小さいわけです。レペタンが効かなくなったのでモルヒネに切り替えるときには,いままで使ったレペタンの1日量に80〜100を掛けあわせ,それを2分の1にして12時間ごとの徐放錠投与に切り替えるか,あるいは6分の上にして4時間ごとの塩酸モルヒネ投与にすればよいわけです。レベタン3mgを投与してよく効かないときにモルヒネに代えるときには3mg×100=300mgがモルヒネの1日の投与量になります。それを投与して効きすぎたら減らし,効かなかったらさらに増量するのが基本方針です。
――卵巣癌で腹水穿刺をしている患者ですが,モルヒネの経口投与を行っている間に嘔吐が出現しました。そこでモルヒネ坐剤の8時間ごとの挿入に切り替えました。痛みはコントロールできましたが,まだ嘔気があります。制吐薬を内服してもよいか教えてください。
経口投与したモルヒネも,直腸内投与したモルヒネも,投与開始直後から嘔吐を起こし,起こす機序は同じで,脳の嘔吐中枢に作用して嘔吐を生じさせるわけです。どちらの投与法のときも嘔気があれば制吐薬を投与すべきですが,設問の場合にはモルヒネに関係のない原因で嘔吐があるように思えます。必要なら制吐薬を使ってよいのですが,非経口投与とします。嘔吐の原因を探り出すことが大切です。
――私の勤務している大学病院では麻薬の1日量の上限が決められています。どうしたら大量投与ができるでしょうか。