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そのときのモルヒネの投与経路を教えてください。モルヒネは万能薬ではありませんので,痛みの種類によっては効かないことがあります。たとえば,ヘルペス後の神経痛にはモルヒネは効きませんし,癌と直接関係はありませんが,脳卒中後の視床痛にも効きません。痛みの原因が中枢神経系や末梢神経繊維それ自身の中にあるような痛みにはあまり効きません。もしそういう痛みにモルヒネを増量していくと意識がなくなったり,呼吸が止まるような量になっても,痛みは残ります。

こういうことがおこらないようにするために,徐々に増量していくのです。増量のたびに少しずつ痛みが軽くなっていけば,やがて痛みが消える量が得られることになります。呼吸抑制や意識低下がみられるまでぼんやりと図式的・自動的に量をふやしていくのは医療者としての注意を欠いていることを意味しています。

 

――MSコンチン錠使用量は,体重,体型,病状などにより効果的な錠数があるのでしょうか。

ありません。その人の痛みの強さと,体質,薬の服用歴など,いくつもの要因のためモルヒネに対する個人的な反応に大きな差がありますので,一定量は決められません。

日本薬局方は,こういう投与法が開発されてから改正され,極量の記載を削除しました。

 

――モルヒネを使用する前にレペタンを使用していたとすると,モルヒネでのコントロールはむずかしくなりますか。

なりません。レペタンとモルヒネを同時に使っていけないのです。レペタンはモルヒネの効力を弱めることがあり,レペタンの効力には限界があります。1日3~4mgの増量までは効果が増強しますが,それを超

 

 

 

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