めの少量の投与で血圧が下がることはありません。
――一人夜勤をしていて静注したモルヒネでの呼吸抑制が不安になったことがあります。この場合,無呼吸が10〜15秒くらいありました。具体的に呼吸はいくつくらいまでならだいじょうぶなのでしょうか。
その患者にとって必要な酸素が得られる呼吸数であればよいと思います。経口投与したモルヒネの場合には15分か30分くらいかけて徐々に吸収されていきますから,血中濃度はゆっくり上昇し,最高値があまり高くなりません。静注の場合には,急カーブで血中濃度が上昇して非常に高くなって毒性域に達しますから,モルヒネのあらゆる作用が現れてきます。もちろん呼吸抑制も含めてさまざまの問題がおこります。無呼吸になるかもしれません。経口投与の場合とは異なるのです。
モルヒネには薬理上いろいろな作用がありますが,臨床的には与える量,与え方のスピードによって,ある作用が現れ,他の作用が現れないのです。そこに使い勝手のコツがあるわけです。呼吸抑制が現れない量で痛みは消えるのです。痛みが緩和すると楽になるので,呼吸数が少なくなることがあります。呼吸数がいくつなら大丈夫かと考えるよりも,患者が必要としている酸素量が摂取できているか否かに注目して監視すべきです。
――モルヒネを使用しはじめて,コントロールがうまくいかずに意識レベルが低下し,呼吸抑制がくることがありましたが,どのくらいまで余裕をもって見守ってよいのでしょう。呼吸抑制が出てきたときとか,意識がなくなっていると,あわててモルヒネを中止することになってしまいます。