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と告げられていたり,癌ではないと言われたとしても,癌であって自分の生命にかかわるかもしれないと受け止めながら療養生活を送っている患者さんに痛みがおこるのですから,死の不安は増大します。いつまでも痛みに対応しないと,ますます心は暗くなっていきます。心の問題が増大すると,同じ痛みが強く感じられるようになります。このように心の状態に修飾された痛みが治療の対象となるのです(図5)。

いつまでも治療されない痛みは心に大きな影を刻んでしまいます。そういう状態になってから痛みの治療を始めると,本来効くはずの痛み治療が効かないという現象がおこります。つまり痛みにも手遅れがあるのです。痛み治療の専門医にはそういうひどい痛みの患者さんが集まってきます。痛いと言い出したばかりの患者さんは紹介されてきません。痛みの専門医は,こういう患者さんを100例くらい治療すると,いろいろな困難があったうえで除痛した成績としてまとめ,学会に発表します。あまりはかばかしくない成績の報告を聞いた私たちは,痛みには手を出さないほうがいい,たいへんなことだという印象を与えられます。

しかし,早目に治療を開始すると,割合に楽に除痛できるのですが,それをまとめた報告があまりないのです。みなさんが自分の病院できちんとした治療を始めて比較的手間をかけずに患者さんの痛みがコントロールされたら,それをまとめて学会で発表してくださるといいと思います。このような学会活動を通じて,痛み治療の正しい知識を普及させてほしいと思います。

 

 

 

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