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ライフサイエンスシリーズ「緩和ケアにおける症状観察とコントロール」

 事業名 保険医療に関する教育及び調査研究
 団体名 ライフ・プランニング・センター 注目度注目度5


師が,「でも早期ですから治療すれば必ず治ります」と言ったとします。その言葉を,「そんなことはない。この医師は私を慰めるためにそう言っているにすぎない」と,信じないかもしれません。当人はそのときには「癌なのだから間もなく死ぬのだ」と思っているのです。ところが医療側は,この患者さんは早期癌なのだから,早期癌患者として病気だけ扱えばすむのだと思っていることです。しかし,このとき治療そのものは早期癌患者に対するものでいいでしょうが,その患者さんへの人間としての対応は,未期癌患者に必要とされているうちのいくつもを併用してあげる必要があります。こうすれば患者さんのニーズを満たすことになり,みなさんの病院はよい評判を得ることになるでしょう。こういう考え方に沿っての癌医療が実施されるべきであると,世界保健機関(WHO)が各国に勧告しています(図2)。

癌と診断したら,癌細胞にだけに注意を向けて,患者さんが仕事で困ろうが,他に何か困る問題があろうが,とにかく癌をやっつけるための治療だけをただちに実施し,もし治らなくなると末期医療に切り替えていくという旧来のやり方は,もう通用しないのです。

先日,癌患者の会「あけぼの会」のワット隆子会長が,「それでも遅い。癌と診断する前からケアしてほしい」と言っていました。きちんとしたところに行って,きちんと検査を受けるようにと家庭医に言われたときから,患者さんは不安をもっているからです。診断確定の前から配慮が必要ですし,診断のあとで癌治療を実施するときにも,末期医療として発達してきた医療,すなわち緩和ケアを同時並行的に実施していくことが必要なのです。

そうすると,不幸にして癌が進んで,治癒の望みがない状態になったら,末期ケアに切り替えるというのではなく,いつのまにか末期ケアに力点が移っていくことになります。

 

 

 

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