保育所の初期の対応
1. 親への対応 決して親を批判しない、親を非難する心を持たない
親の育児を咎めたり、批判したり、感情的になったりしない
親の立場に立って、親の聞き役になり、親の努力を評価する。
2. 子どもへの対応 親から分離して保護する必要性を判断する
1)入院検査・治療:外傷、発育障害、発達の遅れ、情緒行動問題、
2)一時保護所:児童相談所は危機に緊急に子どもを保護できる
3)施設保護:子どもの治療、親の一時休養、親子関係の再調整のため
4)在宅のまま:在宅援助で虐待の改善が図られる場合に限る
3. 相談機関に対応を相談する 一人で援助すると、必ず行き詰まる
嘱託医、児童相談所または福祉事務所、保健所に相談する
紹介時には予め連絡し、予約を仲介し、同伴受診する
虐待を否認することは,悲惨な子どもを放置することであり、困っている親を放置することである
在宅援助での保育所・幼稚園の役割
乳幼児期の被虐待児が在宅でいるためには、家庭以外に毎日通園することが不可欠である。
目的は子どもの再発早期発見・成長発達保障(代行育児)、母親の育児負担軽減・育児技術の伝達である。
【よくおきるトラブル】
《保育所中断がおきる理由》中断しないためには母親への援助を行なう!!
1 母への多すぎる指示、批判的言動(忘れ物、家庭育児)→批判されることが耐えられない
2 母の疑問や不満の無視(育児感が違うので必ずおきる)→誤解から、自尊心を傷つける
3 児が通園を嫌がる(母の気持ちの先取り、環境変化過大)→保育が悪い、母が辞めたいと考えている
4 児の変化を嫌がる(感情表出、活動的、反動的行動)→「躾が台無し」「保育が間違っている」
5 児が保母や園を好きになる(家に帰りたくない)→親のプライド傷つく、児への憎しみ増強
6 入園直後の感染症の罹患→よけいに手がかかる
7 その他(保育料滞納の気兼ね、保母や父兄の批判的噂)
→通園継続が最重要であり、そのためには母を大切にする。他への秘密漏洩を避け、母の気持を配慮し、親の考えやプライドを守り、母の誤解は早期解消を図る。たえず子どもの改善や母の努力を言葉にして評価する。母の相談相手になれれば理想的。
【親への取り組み】
1.親との信頼関係構築が一番重要
絶対に批判しない、親の育児を一方的に批判しない、
子どもの育て難さや、生活のストレスを話せる関係を作る、
2.育児の相談役になり、育児の実際のモデルを示す、
言葉で誤りの指摘はしない、
理想的育児ではなく母にできる育児方法を指導する、
保母の実践を見る中から学習する可能性がある、
3.危機を把握して(妊娠、失業、病気、転居等)相談機関と連携する
4.生活上のストレス軽減のために関係機関に紹介する
母親が保母からマザリングされることで子どもへのマザリングを学び、次いでペアレンティングを指導することが望ましい