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3. 病院での検査と治療ー乳児や重症幼児では、まず病院に入院させる

(1)親への勧め方は「(症状の)精査のため」「(症状の)治療のため」とさりげなく言う

(2)入院拒否を防ぐには、公費負担を利用し、付き添い不要が有効、

(3)入院後早期に病院で、関係機関カンファレンスを開き、発生機序・予後予測・援助方針を検討する

(4)施設入所も、一旦入院してから勧める方が円滑な場合が多い、

 

(1)確定診断のための子どものチェック項目

1.外傷についての病歴聴取

2.全身の診察

3.必要なら全身の骨レントゲン撮影

4.必要なら出血性疾患スクリーニング

5.初診時のカラー写真

6.兄弟の全身の診察

7.行動情緒の評価

8.発達の評価

 

報告書に必要な項目

病歴(親の説明)、全身の所見、検査結果、虐待と判断した理由

 

(2)初期の治療

1.虐待が疑われれば入院させる

2.外傷と栄養不良と心の治療

3.診断・方針に迷えば専門家に相談する

4.両親に(紹介すると話し)その後の援助を約束する

5.親への援助を最大限に行う

6.できるだけ親に付き添ってもらう

7.児童相談所に報告(紹介、助言相談)する

8.MSW、CW、保健婦に紹介する

9.関係者のカンファレンスを開く

10.退院後も身体症状の経過観察する

11.心理・社会的経過観察と治療継続

 

(3)在宅か施設かの判断基準(Kempe)

家庭:

1.外傷がおきた理由の理解がある

2.子どものニードを新に理解する

3.家庭訪問を受け入れる

4.定期的な受診を了承し継続できる

5.生活形態を何か変える

施設:

1.よっぽどでないと受診しない

2.子どもに拒否的、攻撃的、無関心

3.治療プログラムに協力しようとしない

4.母に薬物中毒やアルコール症がある

5.母に精神疾患がある(鬱病、分裂病)

 

4. 在宅援助ー在宅で改善が図られる場合に限られる

子どもへの援助

(1)健康状態からの援助効果評価

(2)保育所入所(安全確認、心身ケア、成長発達保障)

親への援助

(1)親への徹底した援助関係の構築(親の味方になる)

(2)育児負担・育児不安・孤立育児の軽減

(3)生活のストレスの軽減

(4)子どもを傷つけない育児への助言と励まし「叩きそうになったら離れる」ことを勧める

 

5. 施設入所ー子どもが危険な場合・在宅での改善が困難な場合には施設入所させる

(1)親への勧め方は

親が承認しにくい時は「リハビリのため」「専門家の育児が必要」「(情緒の)治療のため」と勧め、親が納得する時は「親として子を守るための選択」「生活安定してからやりなおすため」と励ます

(2)措置機関である児童相談所に紹介する(病院入院紹介と同様の項目を伝える)

(3)虐待児の目的は、危機回避・子どもの保護・子どもの治療・親子関係の治療である

 

<参考図書>

6.トリイ・ヘイデン、シーラという子、早川書房、1996 学校での子どもの治療事例

7.トリイ・ヘイデン、タイガーと呼ばれた子、早川書房、1996 シーラのその後

8.ジュデス・ハーマン、中井久夫訳、心的外傷と回復、1996 PTSDとしての理解と治療

9.アダルトチィルドレン、現代のエスプリ、1997

10.弁護実務研究会、児童虐待ものがたり、大蔵省印刷局、1997

11.母子保健事業団、子どもの虐待、1998

 

 

 

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