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【早期発見】

「親が告白しなくても、誰がしてるか分からなくても、発見しなければならない。子の特有の症状、特有の親の言動、心理社会的背景はあれば99%の確立で診断できる。虐待を疑えば援助を開始する」

 

(1)子どもの健康状態

1.外傷が多い

2.体重増加不良、低身長

3.病気の放置、

4.清潔保持不十分(皮膚、口腔)

5.発達の遅れ(身辺自立は早い)

6.情緒行動問題

7.予防接種少ない

8.乳幼児健診少ない

 

(2)特に注意すべき外傷(Kempe)

1)出血班   首、頭部、腹部

2)火傷    たばこ、熱湯

3)眼外傷   網膜出血

4)頭蓋内外傷 硬膜下出血

5)腹部外傷  肝腎破裂、腸裂傷

6)骨折、脱臼

 

死因は頭蓋外傷、腹部外傷、突然死、窒息、感染症や脱水、死亡の殆どは3歳末満

 

(3)揺さ振られっ子Shaken Baby Syndrome

2歳以下の児を、胴体や上腕を持って前後に強く揺さ振ることによる

1.脳虚血によるびまん性脳腫張

2.硬膜下血腫、蜘蛛膜下出血、

3.網膜出血

4.頭部外表には外傷がないことも多い

5.骨折を伴う場合もある

肋骨、鎖骨、上腕骨、脊椎、

6.死亡率が高く、生存しても重度障害を残す

7.乳児を強く揺すってはいけないと啓蒙する

 

(4)子どもの精神症状(西沢)

発達遅滞、寡動、寡黙、過食拒食、悪夢、睡眠障害、夜尿、遺尿遺糞、多動、攻撃性、

 

1.心的外傷後ストレス障害

2.対人関係の障害

無差別的愛着と極端なデタッチメント

虐待関係の反復傾向

3.攻撃性

4.自己概念の障害

5.解離性障害

6.その他

偽成熟性、食物への固執、境界性人格

 

(5)親がよくする脱明 (Kempe)

1.曖昧な説明

2.矛盾する説明

一ヵ月で寝返り、ベッド落ち頭蓋骨折

よく転ぶ、よく飲む、たくさん食べる

3.子どもが自分でしたと言う

4.第3者のせいにする

5.受診の遅れ

6.反復する疑わしい外傷

 

(6)親によくみられる行動 (Kempe)

1.症状の程度を気にかけていないようにみえる

2.予後や治療方法について質問がない

3.入院させるとすぐ帰ってしまう

4.重症でも入院を拒否する

5.医者や病院を転々とする

6.面会や電話での問い合わせがほとんどない

7.面会は短時間で、子と接触しない

8.付き添い拒否、医療費不払い、外来中断、受診の遅

 

<参考図書>

1.Jones NJ、鈴木敦子、小林美智子他訳、児童虐待ハンドブック、医学書院、1995、全職種向け基本入門書

2.池田由子、児童虐待一ゆがんだ親子関係一、中公新書、わが国の実態と基本的理解

3.西沢哲、子どもの虐待ー子どもと家族への治療的アプローチー、誠信書房、1994、心理面の理解

4.Jorgensen EC、門真一郎訳、虐待される子どもたち、星和書店、1996、子どもと親への治療の実際

5.(まんが)ささやななえ、椎名篤子、凍りついた瞳、集英社、1995、

 

 

 

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