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◇ベートーヴェン作曲/交響曲 第6番「田園」作品68

この曲はベートーヴェンの38歳の時の作品で、ウィーンの北にあるハイリゲンシュタットの丘は、今でも「田園」を作出した場所として保存され、見物に来る人達でにぎわっています。「田園」を作曲した当時は、交響曲に標題などはなく、抽象的な内容を音楽にした作品ばかりだっただけに、各楽章ごとに標題をつけたベートーヴェンのこの曲は、新しい一面を作り上げたもので大変に珍しい形でした。楽章も、5つの楽章という型破りのものであり、ベートーヴェンの意欲が充分に伺える作品です。

* 第1楽章 「田舎に着いた時の愉快な気分」アレグロ・マ・ノン・トロッポ

(速く、ただし過ぎぬように)初夏の田園の明るい陽ざしとそよ風を感じられるような平和と喜びに溢れる楽章。

* 第2楽章 「小川のほとり」アンダンテ・モルト・モッソ

(ゆっくりと歩くような速さで感動をもって)静かな優美な楽章で8分の12拍子、流れる小川や後半にはナイチンゲールがフルートで、うずらをオーボエで、カッコー鳥がクラリネットで演奏されるのどかな田園風景が美しく描かれています。

* 第3楽章 「田舎の人との楽しい集い」アレグロ(急速に)

村祭りに踊る農夫たちの愉快な場面を描いています。

* 第4楽章 「雷と嵐」アレグロ(急速に)

ピッコロ、トロンボーン、ティンパニーが加わり、踊りの場面が一転してにわかにすさまじい嵐となり、この嵐が静まると引続き第5楽章に入ります。

* 第5楽章 「牧歌、嵐のあとの喜びと感謝」アレグレット(やや速く)

羊飼いの笛のメロディから、のどかな優しい主題が繰り返し変奏され、大自然と人間があたかも、1つの場面に溶け込んでゆくような雄大な終結部へと導かれて行き、ホルンが序奏部のメロディを吹いて曲は終わります。

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 1997年(平成9年)創立50周年を迎えた大阪フィルハーモニー交響楽団は、大阪政財界の絶大な支援のもと、1947年(昭和22年)「関西交響楽団」という名称で発足。1960年(昭和35年)「大阪フィルハーモニー交響楽団」という現在の名称になった。そして創立以来一貫して常任指揮者を朝比奈隆が務め、個性と魅力溢れるオーケストラとして親しまれている。

大阪フィルの活動範囲は、関西はもとより日本全国に及び、年間100回以上の演奏会を行っており定期演奏会は、大阪フェスティバルホールで年10回開催している。海外演奏旅行は、ヨーロッパで3度行ったのをはじめ、北米、韓国、台湾で行い、日本を代表するオーケストラという評価を確立。

1991年(平成3年)には大阪フィルハーモニー会館を大阪市が建設、最高の音楽活動のための環境を整え、レコーディング活動も活発で、日本で一番多くのレコード・CDを出している。

 

 

 

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