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(守矢裕子 プロフィール)

1969年11月11日生まれ

1992年 第3回ACL青年作曲賞受賞

1994年 第63回日本音楽コンクール入選(管弦楽作品)

1995年 第64回同コンクール第3位入賞(室内楽作品)

1997年 東京芸術大学大学院音楽研究科作曲専攻 修了

作曲を南弘明、松下功の両氏に師事

 

バビロンに歌をもとめて-チェロとオーケストラのための

(ln pursuit of Songs for Babylon-for Cello and Orchestra)

守矢 裕子

人間にとって最も根源的な音楽は、“歌う”ことではないでしょうか。叙情的な意味として捉えたり、単にメロディックな要素を入れるだけでなく、“歌詞のない歌”から言葉が感じ取れる様な音楽を作ってみたいと思いました。そこで、人間の肉声に近い音域を持つチェロを軸とし、チェロとオーケストラ、それぞれに歌うことの概念を投げかけてみました。それは、しばしば形の明瞭な旋律となり、ともすれば異質なものとして瞑想的な音響から浮かび上がってきます。しかし、始めから、共同体や聴衆を求めたのではなく、自己からわきでる歌にならない歌が、このような語法となり表現するに至りました。曲名の“バビロンに歌をもとめて”も“バビロン”という地名に何かしら、歌を感じさせられたからに他ありません。

心の奥底まで響くようなチェロの音色が、以前から大好きでした。私なりの、新しいチェロ音楽をと、試行錯誤しながら書いた曲です。

最後に、今回、指揮をして下さる渡邊一正氏、東京フィルハーモニー交響楽団とスタッフの方々、そしてチェロ独奏者の苅田雅治氏に心から感謝致します。

 

 

 

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