豊住竜志: ピアノ協奏曲 Concerto for Piano and Orchestra(約13分)
小栗克裕: 管弦楽のための「ディストラクション」"Destruction"for Orchestra
(約16分40秒)
清水昭夫氏は、昭和48年生まれの24歳。東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業したが、作曲を鈴木行一、佐藤眞、小林秀雄、林光の各氏に師事している。平成7年には大学で長谷川賞を受賞している。
「赤い花」と題されたフルート協奏曲は以下の説明文を伴なっている。
「現代のフルートのあつかい、協奏曲としての理念、そしてオーケストラの表現等を模索し、研究した。特に演奏者側から見た協奏曲に対する価値観と作曲者側が求める新しい可能性を総合的に評価し、指針とした。」
氏の作品についても、小栗氏と同様のことが語れるが、若いにもかかわらず、その書法はすっきりとしていて、演奏上の問題もないと指摘されている。
守矢裕子氏は、昭和44年生まれの27歳。東京芸術大学大学院音楽研究科に在籍しており、南弘明、松下功の両氏に師事し、1992年には第3回ACL青年作曲賞受賞の業績があるほか、第63回日本音楽コンクール(管弦楽作品)に入選したあと、つづく第64回同コンクール(室内楽作品)で第3位に入賞している。
その氏の作品については、こう語られている。
「この作品の軸となるチェロとオーケストラ、それぞれ“歌う”事の概念を投げかけてみた。それは、しばしば形の明瞭な旋律となり、ともすれば異質なものとして、瞑想的な音響から浮かび上がってくる。しかし、始めから共同体や聴衆を求めたのではなく、自己からわきでる“歌にならない歌”が、このような語法となり、表現されるに至った。(標題は池澤直樹氏の『バビロンに行きて歌え』からヒントを得たが、小説と直接の関係はない。)」
楽器編成はフルート3、(第3フルートはピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット3、ファゴット2(第2ファゴットはコントラファゴット持ち替え)、ホルン4、トランペット2、トロンボーン2、テューバ1、打楽器奏者3人、ハープ2、チェロ独奏、弦楽5部。
第1次の選考過程で、もっとも評価が高かった作品であるが、指揮者に演奏上の可否については、ネガティヴな評価を受け、その論議がかなり続けられたが、演奏不可能とされた部分については、別のかたちで解決することにして、この作品も入選が決定された。コンサートで実際どのような響きを独奏者とオーケストラが実現してくれるのか、これもまた期待したい。
豊住竜志氏は昭和40年生まれの32歳。愛知県立芸術大学大学院を修了している。作曲は石井歓、兼田敏、松井昭彦の各氏に師事し、第57回日本音楽コンクール(管弦楽曲)第3位入賞を果したほ