日本財団 図書館


が、<Symphony>と題されたものが1曲、<交響詩>と記されたものが1曲、<協奏曲>や<Concerto>と題されたものが3曲とチェロとオーケストラの組み合わせのものが1曲と、協奏作品が4曲、その他は、いわゆる管弦楽曲として分類されるもので、合計11曲。その中には<Suite>、<前奏曲>と指示されているものもある。

作曲者によって指定された演奏時間は、10分以下が6曲、10分から20分までが10曲、そして21分から30分という範囲のものが1曲(23分)である。およそ12〜13分というものが平均であろうか。

つづいて選考過程を説明してみよう。選考は作品の内覧から始められ、5日間の内覧期間が設けられたあと、1996年(平成8年)11月22曰(金)の午後に第1次選考委員会が開かれた。委員は、一柳慧、高田二郎、武田明倫、野田暉行、別宮貞雄、間宮芳生、松村禎三、三善晃に海老澤敏が出席し、岩淵龍太郎、広瀬量平の2名が欠席であった。広瀬からは人選候補作として3作の推薦の連絡があった。

海老澤が座長をつとめて始められた最初のセレクションでは、はやくも9曲(No.1、No.2、No.7、No.9、No.11、No.13、No.14、No.16、No.17)が選考対象外とされた。楽譜の内覧をへたこの時点での論議でも、かなり技術的な問題の指摘もおこなわれたことを報告しておこう。

つづいて第2次の選考に進んだ8曲(No.3、No.4、No.5、No.6、No.8、No.10、No.12、No.15)について、さらに第1次と同じように挙手によっての投票の前に、より突込んだ論議がたたかわされた。その結果は3曲が対象外となった(No.10、No.12、No.15)。

さらに3次の論議が残された5作(No.3、No.4、No.5、No.6、No.8)について続けられたが、最高得票はNo.8の7票(広瀬票を含む、以下同様)、つづいてNo.4の6票、さらにNo.3とNo.5の4票そして最低得票はNo.6で3票であった。その結果、No.6は残念ながら対象外とされた。残る4作のうちから、3作品を選べるかどうかについて論議がたたかわされたが、演奏時間の関係から、またその他の観点からも、4作を入選作とすることも可能と判断されたため、今回は本日、平成9年7月11曰(金)におこなわれる第2次選考会を兼ねての<現代日本のオーケストラ音楽>のコンサートで、4作全部が取り上げられることに決定された。このコンサートは本夕<なかのZERO大ホール>で、渡邊一正指揮の東京フィルハーモニー交響楽団の演奏でおこなわれる。これら4作から演奏会終了後におこなわれる委員会で作曲賞の対象作品が選ばれる予定である。

つづいて、4曲の入選作品とその作曲者について紹介しておこう。なお、詳細については本日のプログラムの作曲者の紹介の項を参照して頂きたい。

 

清水昭夫: フルート協奏曲「赤い花」Flute concerto"A red Fower"(約12分)

守矢裕子: バビロンに歌をもとめて―チェロとオーケストラのための

In pursuit of Song for Babylon-for Cello and Orchestra(約12分)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION