政府は、こうした危機的状況に対応せざるを得なくなり、新たな経済政策を決議し、さらに、中央管理システムの解体、地方への権限委譲、補助金システムの撤廃、現物支給の停止・現金支給への変更などの基本政策を決議した。
その後、1986年の第6回共産党大会で、党全体の意思として、包括的全国復旧計画が承認され、「ドイモイ」を国家目標として宣言し、以下のような基本政策を打ち立てた。
・「社会主義に至る過度期は比較的長期の歴史過程である」として、性急な社会主義的改造路線を否定
・重工業優先を見直し、農業を基本とする食糧・食品の増産
・国営・公営企業以外の資本主義的経営や個人経営の存在を認める
・国際分業、国際経済協力に積極的に参入
さらに、根強い官僚主義と中央依存体質の改善、4減(歳出、物価上昇、通貨発行量、貧困の削減)の実現、失業対策などといった国内の主要問題に積極的に取り組むこととされた。
3 概況
面積: 330,991平方キロメートル(日本の約88%。九州を除いた日本の面積に相当)。その4分の3は山岳、高原地帯。
人口: 7,540万人(1996年現在)。キン族(越人)が約90%であり、その他タイ族系、中国系、その他の少数民族など約60の民族から構成されている。
宗教: 仏教徒が約80%。その他、カトリックが9%などとなっている。なお、憲法上、信仰又は不信仰の自由が定められている。
言語: ヴィエトナム語
GNP: 1人当たりGNP311ドル(1996年)
第2節 統治機構
1 憲法
現在の統治体制は1992年に制定された憲法(別名「ドイモイ憲法」と呼ばれる)により定められている。なお、憲法は、1946年、1959年、1980年に制定されている。
1992年の憲法は、民主主義、法治国家の強化、三権分立の明確化、政治・経済・社会