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対する魅力が増えたことから、公務への優秀な人材の採用が難しくなっている。また、エリート官僚であるAdministrative Service(総数約200人)は、30代半ばから40代にかけて、民間に人材が流れて、人員構成にゆがみがでるなどの問題も生じている。

 

(3) 給与水準の官民均衡

公務員の給与は、1972年に設置された経営、労働、政府の3者構成の全国賃金協議会が経済成長や生産性、インフレ率を勘案して勧告することとなっている。

実際には、公務員の給与は、1980年代前半以降、民間の同種の職種の給与との均衡を考慮して改訂されるようになっている。

公務員給与は、次の原則によることとなっている。

?@ 総給与費の増加は、国の経済の伸びを反映(伸びに運動)したものであること。

?A 給与のベース.アップは、生産性の伸びの範囲以内であること。

?B 賞与等の個別の給与は、個々の職員の勤務ぶりを反映したものであること。

 

経済の発展とともに、公務への優秀な人材の採用が難しくなっているといわれているが、官僚主導の開発主義が成功し、一流国の仲間入りした段階で、エリート官僚への人材確保が難しくなっているというのも皮肉といえる。

このような事態を打開するため、公務員の給与は、民間準拠を原則としているが、閣僚と高級官僚の給与については、1994年から、民間の高給所得者の水準に準拠して「自動的に」調整される仕組みが導入された。

?@ 閣僚と高級官僚の給与を、銀行家、会計士、エンジニア、弁護士、地場企業家、外資系企業経営者の6職業の最高所得者4人、合計24人の平均所得の3分の2の額とする。

?A その額を閣僚の中で最も等級の低い閣僚(Staff Grade I)の俸給とする。首相の給与は最も低い閣僚の給与の2倍

?B 幹部公務員の給与のスタートライン(Superscale G)は、比較6職業に従事する32歳の民間人所得ランクの15番目とする。

?C 毎年、民間水準の動きに運動して改訂する。

 

 

 

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