社会開発の計画、実施の権限・機能を、省の外郭団体である準政府機関(Statutory Board)、政府系企業(Government-linked Company)に委ねている点である。
政府の効率の良さの理由の一つは、政府・省の複雑で実施までに時間のかかる諸規定から解放されて比較的自由なこれら準政府機関を積極的に活用しているためといわれている。
独立後の国家目標が、統治機構の確立、そして経済発展と続き、いま開発至上主義から民主化へと進んでいる。それとともに官僚制の役割も変化している。
4 ポール・クルーグマンMIT教授は、「東アジアの奇跡」は一時的で、資本と労働の大量投入のみによったソ連経済が経済の非効率の下で崩壊したように、東アジアの経済成長も、先進国などからの資本と労働の大量投入によるもので、その地域自体の技術革新などの生産性の向上によるものではない、従って、いずれ行き詰まると指摘している。
現実に、昨年の夏にタイに端を発した通貨・金融危機はインドネシア、マレーシア、韓国へと広がった。世界の成長センターだった東アジアが、1年前とは様変わりの厳しい経済情勢の中で新年を迎えた。今後のシンガポールを始めとする東アジアの動向が注目される。
第2節 国情概説
[歴 史]
1511年 ポルトガルがマラッカ王国を支配
1641年 オランダがマラッカを奪う
1795年 イギリスがマラッカを奪う
1815年 ウイーン会議の結果、マラッカがオランダに返還される
1819年 人口約200人
イギリスがシンガポールに上陸する
1824年 人口1万683人
英蘭条約で、インド、マレー半島、シンガポールをイギリスの領分に、インドネシア、東インド諸島をオランダの領分とする
1836年 中国人の人口がマレー人を凌駕する