てもらわない限り構築されないものである。
自分は高い規律を保持して公務を遂行しているのだから問題はなく、他の者が汚職などの不正行為をしても自分とは関係がない、との態度を取る職員がいることがある。しかし、このような職員がいる限り、公務への信頼感を勝ち取ることは困難であろう。公務員一人一人が効率的・清廉に公務を遂行することはもちろんのこと、各人が職場の規律維持にも注意を配り、公務全体の士気・倫理観を向上させることが信頼感獲得には不可欠なのである。
なお、公務・公務員が信頼感を獲得した暁には、その公務が担う政策内容及び政策決定過程に対する信頼感も増すというプラス効果ももたらされよう。
3 研修教材開発に向けて
(1) 組織としての行動規範の確立
上記を踏まえ、本事業では、開発途上国の公務員各人が、効率的な公務遂行について考え、高い士気。倫理観を有するようになるための一助となる研修教材の開発を目指すこととする。また、一人一人がこうした公務員となるだけでは公務に対する信頼感の構築には不十分であり、公務全体に広める必要があることから、効率的な職務遂行に絶えず注意を払い、高い士気。倫理観を有する職場環境をいかに形成するかについても本研修教材で触れることとしたい。
効率的な職務遂行、高い士気・倫理観、これらを公務員一人一人の行動規範にまで高めるためには、高邁な理論や観念論をいかに説いても効果がないであろう。行動規範として内面化するには、各人が公務員としてのあり方を自ら考え、納得し、それを行動に移すことが必要であり、本研修教材はそのきっかけを作るような物であることが望ましい。
(2) シート形式
上記に述べるように、「教える」ことではなく、「自分で考える」ことを目的とする研修教材を目指すことから、内容は詳細な理論・説明よりも、問いかけ、ケーススタディなどを交え、各人自らが考えられるようなものにする。ただ、事例などだけでは行動規範として考えを整理して内面化することは困難と思われることから、規範とすべき行動原理を簡単にまとめたシートも必要であろう。
このような研修教材は、講師や他の研修員が傍らにいて、互いに問いかけをしたり、