行ってはいないが、多くの邦船社の場合には、日本商法の規定に従って、禁転文言のある記名式船荷証券といえども、「受戻証券性」があると解して回収を行っている。
商法第574条では、船荷証券は裏書きによちて譲渡できる旨を定めているが、それは記名式といえども同様であるとされている(法律上当然の指図証券)。しかし、同法のただし書きでは、禁転文言の付された記名式船荷証券の場合は、この限りでないとしている。
このような場合において、船荷証券を譲渡しようとする場合には、民法第467条に規定する、指名債権譲渡の方法が利用されることになろう。
?ペーパーレス化及びEDI化
一度発行された船荷証券は、運送人にとっては常に回収されなければならないが、SWBであれば受戻証券とを有していないため、その発行者はあえて原本を回収する必要はなく、運送人のペーパーレス化に寄与する。
発行された書類の通数も、通常、船荷証券の場合は3部であるが、SWBは、その制度自体が貨物引渡しの観点から既にペーパーレス化の特徴があり、SWBの普及・代替は、将来、利用されるであろうといわれているEDIによる電子式船荷証券の利用を促進することになる。
(4)SWBの短所
?Hon-Negotiable
SWBは権利証券ではないので、これをもって貨物を第三者に洋上転売することはできない。このことから、SWBは将来も船荷証券に取って代わることは難しいと結論づける人達が、学者や研究者の中に意外に多い。
確かに、わが国でも、輸入貨物である原材料の一部に関しては、本船の航海途上において船荷証券による貨物の売買が行われているが、ライナー・ベースでは、極めて少ない。実務的観点に立って推測しても、例えば、航海日数が1か月程度でその商品の新たな顧客を見つけ出すことは容易ではなく、買う方にしても、商品の内容を詳しく確認することもなく、あるいは現物を見ることもなく購入することについては、あまりにもリスクが大きいと思える。