的にみて、L/Gの発行を前提にしているように推測できるような場合もあり、結果的に背任罪を幇助しているような疑いが残るかもしれない。
(注)背任罪成否
石井照久教授は、『保証渡しは、横領罪を構成しないため、当然には背任罪を成立せしめるものではない。』としながらも、「背任罪」については、判例をあげて、『不統一であり背任罪に該当するか否かは明確でない。』点を指摘しておられる。
《「海商法」(法律学全集30)、有斐閣、1964年、241頁参照。》
現在は、運送書類の発行時に、SWBか船荷証券かの選択ができる訳であるが、運送契約のときにSWBが選ばれるのであれば、このような問題はなくなり、法令遵守に通じることになる。
?船荷証券回収の管理義務
一旦発行された船荷証券は、それが記名式のものであっても、あるいは記名式船荷証券に禁転文言が付されたものであっても、商法第584条に規定する「受戻証券性」が否定されるものではないため、運送人は、常に、その原本回収に努める必要があるとされている。また、L/Gの発行や空渡しが行われている場合には、その早期回収については、より周知徹底されなければならない。
これに対し、SWBは「受戻証券性」を有していないので、このような管理は不要になる。
(注)禁転文言
“Federal Bills of Lading Act 1916”(Pomerence Act)第3条では、指図式船荷証券の流通性を定義しているが、同法第2条では、物品が特定人に送達される旨を記載する証券は記名式であるとし、同法第6条においては、記名式船荷証券には、その券面に「非流通」である旨を記載しなければならないとしている。
米国では、米系船社の場合は、荷渡しに際し、記名式船荷証券の回収を