日本財団 図書館


になるケースも少ない。

そのため、トラブルの解決には、船荷証券やAWBなどのように判例や過去の事例に頼るということはまだ難しいが、現在までに業界や学会などで議論されてきたことを、現場における貿易実務者の立場から俯瞰してみたい。

 

(2)貿易業者の利点

?デリバリーの迅速化

本船の仕向地到着後、SWB上の荷受人等の確認が取れれば、荷受人は貨物の引取ができるので、船荷証券を利用した場合のように、貨物の引渡しについては発行されたSWBの原本の提由を必要としない。

荷受人への船荷証券の到着より本船の仕向地到着が早い場合にSWBを利用すれば、売主からの船荷証券を待つ必要がなくなるため、このような場合における貨物の早期引取りが可能となり、その効果は、?ディマレッジのセーブができるとか、?国内での資金化が早まることになるなど、貿易業者のメリットとなってあらわれる。

 

(注)ディマレッジ(demurrage)

本船から陸揚げされた貨物が、free time期間内に荷受人によって引き取られない場合、その超過日数に応じて課される保管料。

 

?L/G(L/I)が不要

輸入者側に船荷証券が未着の場合、SWBには有価証券性がないので、貨物の引取のために必要とされていたL/Gが不要となり、L/Gの存在自体が意味を持たなくなる。

その結果、従来銀行に支払っていた「保証料」が不要になるほか荷受人の手間などを省くことができる。

L/C(信用状)取引であれば、銀行からのL/Gの取得は、多くの場合、可能ではあるが、D/A、D/Pや送金取引の場合には、その銀行に船荷証券等が送付されてくるかどうかが明確でないため、L/Gの取得ができない。このような場合、荷受人は、Single L/Gや空渡しで貨物を引き取ろうとすることが多いが、そのために発生するトラブルや荷受人のうしろめたさのようなものなどからも開放される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION