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の方法で、顧客の債権確保を行わなければならないことになる訳である。銀行にとって、この方法は、かなり労力を要するものになろう。

 

(4)船荷証券の危機とSWBの導入

最近の定期船船積貨物にみられるように、通常の大宗貨物においてはその多くが在来船からコンテナ船によって運送されるようになっているが、その大きな特徴の一つに、輸送時間の短縮化があげられる。

輸送時間の短縮化は、売主が買主に送付する船積書類が買主に到着する以前に、本船が仕向先に到着してしまうという新たな問題を提起することとなった。そこで、買主は、売主から送られてくるであろう船荷証券の人手を待つか、或いは、L/G(Letter of Guarantee:保証状)やL/I(Letter of Indemnity:補償状)を船会社に提出して貨物の早期引取りを行うのかという選択をしなければならないという問題が生じてきた。

この問題は、船荷証券の特徴であるはずの有価証券性に起因するものであるため、この現象は「船荷証券の危機」と呼ばれるようになった。このような状況の下において、AWB(Air Waybill:航空運送状)の海上版ともいうべき有価証券性のないSWB(Sea Waybill:海上運送状)が、1970年代後半に、欧州などで利用され始めてきた訳である。

 

(注)SWB

商法第570条(運送状)は、物品の陸上運送に適用される規定であるが、SWBは、この規定による「運送状」(送り状)と同じ性質を持つ海上貨物受領証であるに過ぎない。

 

2.SWBの利点と欠点

(1)国際ルールとSWB

近年、欧米先進国を中心として、急速にSWBの利用も増加してきているようである。SWBが、「U C P500」や「INGOTERMS 1990」でも認知されるようになってきたこともあり、その一層の普及が期待されている。

 

(注1)UCP500

荷為替信用状に関する統一規則及び慣例(1993年改訂版):

 

 

 

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