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(注2)処分証券性(商法第573条)

証券上に表示された物品の引換え請求権を表章することから、その物品に関する処分(譲渡等)をするには、その証券をもってしなければならないこと。

 

(注3)指図証券性(商法第574条)

証券上に指定された者又はその者が証券上の記載により指定(指図)する者を権利者とすること。

 

(注4)引渡証券性(商法第575条)

証券上の有資格者に証券を引き渡すと、その引渡が証券に記載されている物品自体を引き渡したのと同一の効力を生じること。

 

(注5)受戻証券性(商法第584条)

証券と引換えでなければ、債務者が証券上の債務の履行を必要としないこと。

 

(3)有価証券と貿易金融

荷為替の取組みにおいて、銀行がこの有価証券を担保にして買取りを行うというシステムは、運送書類が有価証券であったからこそスムーズに機能した訳である。若し、銀行の買取り後に、買主のみならず売主(受益者)までもが経済的破綻をきたしたような場合であっても、船荷証券の正当な所持人はその貨物に関する所有権を取得することとなり、証券に化体された貨物の引取も運送人からできることになる。

このような場合、銀行は船荷証券を所持しているため、その正当な所持人となり得るからである。この点において、船荷証券は、輸出金融を行うためには、銀行にとって好都合な書類であり、このことが売主の船積後における金融を容易にさせ、国際的な貿易取引をより活発に促進させることになっていったということも事実である。

また、銀行は、買い取りが行われた後における受益者の与信管理についても、船荷証券を所持しているために、その顧客に対し特別な管理はしなくても、とりあえずその貨物の債権確保はできている、と考えることもできよう。船荷証券以外の運送書類が利用された場合には、銀行は、その書類を保管することにより貨物の債権確保を図るという方法以外

 

 

 

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