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追補

 

貿易取引とSWB利用の現況

 

三倉八市

矢崎総業株式会社

国際事業本部輸出入事業部主管

 

1.運送書類とSWB

(1)B/LとAWB

国際運送、国内運送に限らず円滑な商取引を遂行させるためには、運送人と荷受人との間には、貨物受取書などの役目をもつ書類が必要とされるが、貿易取引に関連して、航空運送の場合にはAWB(Air Waybill:航空運送状)、海上運送の場合には船荷証券(B/L:Bill of Lading)が、運送書類として広く利用されてきた。

AWBには有価証券性がないが、船荷証券は有価証券性を備えていることなどもあり、これら2つの書類は、航空及び海上運送を代表する書類として、また、有価証券性の特質などを議論する際によく引き合いに出される書類として、対比され続けてきた。

 

(2)船荷証券の法的性格

貿易取引における運送書類のうちで最も重要なものは、従来から、船荷証券であるとされ、そのことについては異論がなかった。

船荷証券のもつ文言証券性(商法第572条)、処分証券性(商法第573条)、指図証券と(商法第574条)、引渡証券性(商法第575条)、受戻証券性(商法第584条)などの法的性格は、他の運送書類にはみられない特異なもので、それらの権利の利用が証券をもってなされるところから、船荷証券は、財産的価値のある私権を表章する書類である有価証券としての代表的な地位を不動のものとしてきた。

 

(注1)文言証券性(商法第572条)

証券の表章する権利の内容が、証券記載の文言だけで定まること。

 

 

 

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