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2.現在の市場環境

おおむね異論はない。

売買契約に関するINTERCOMSと比べると、輸送契約に関する標準化はやや遅れている、と言えるかもしれない。特に、輸送契約の継承手続の問題(すなわち、大陸法系と英米法系の問題)、責任制限に関する国際条約が複数存在する問題のほかに、貨物の所有権の移転につき各国内法で制定している場合、ルールブックによる当事者間の合意のみで解決可能か、疑問が残る。

 

3.電子環境の構築

Boleroの概念が、貿易に関するデータ交換のすべてを、彼らのネットワーク上で実現しようとしているとすれば、費用対効果がどうなるのか疑問がある。

逆に、交換すべきメッセージの標準を示し、それが既存のネットワークで実現できない場合には、Boleroで交換するオプションを設ける方式が望ましい。すなわち、貿易金融EDIにとって必要不可欠なコア部分をまず実現し、周辺部分を次第に標準化していく方法を採用すべきであろう。

圧倒的多数が参加するためには、すべてのメッセージが標準化され、交換できることが理想ではあるが、それがリーズナブルコストで実現できるかが、他方の問題である。

 

保険申込み、保険証券又は引受証(Insurance Certificate)に関するメッセージの標準化が必要である。また、わが国としても業務の標準化、メッセージの標準化に貢献していく必要がある。

 

セキュリティに関し、充分な考慮が必要である。いかなる方法も将来にわたって絶対安全であるということはできず、特に、権利の移転を電子化することを考えると、絶えず最新の動向に注意を払うことが不可欠である。

 

4.Boleroサービス

概念はよく理解できる。特に、現在各国で異なる法制度をクリヤするために、参加者全員を当事者にしてしまう、という発想の転換は面白い。

しかし、この環境整備を、インフラ提供を含めて一挙に行うとした場合のコスト等が提

 

 

 

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