流通性書類の電子的等価物(Electoronic equivalent)を作成しようとする試みは、従来、特定の流通性書類(船荷証券)を照準にしていたが、MANDATEプロジェクトでは、「流通性」(Negotiability)という概念に対する一般的な解決策を追求している。
《MANDATEは、完全に電子化された環境における流通性に関する一般的な解決策を提供するもので、流通性書類の電子的等価物の総合的な解決策の一部として実施できるものであると説明している。》
このように、一般的な解決策を模索した結果、MANDATEプロジェクトでは、商業的なコスト及び利益について完全な分析を提供することはできないとしている。
(3)流通性書類の要件の分析
MANDATEプロジェクトでは、「流通性書類の要件」について、次のように分析をしている。
?流通性
書類の譲渡によって、書類に示されている権利を善意の譲受人に正確に移転することが流通性書類の最も重要な本質である。
《流通性書類が譲渡されると、譲渡されるのは書類によって証明される権利そのものである。このことは、譲渡人が実際にはその権利に対する有効な権原を持ってない場合でも成立する。》
?ユニーク性
流通性書類は、何らかの価値を具体的に表現しているものであるので、書類がユニークなものであり、そのユニーク性(Uniqueness)を留めていることが重要である。
?署名
手書きの署名は、書類の真正性(Authenticity)の証拠書類として最も多く採用されてきた。債務者は、書類に記されている無効の署名を識別できるので、これによって、無許可の複製を防御できる。署名は、流通性書類のユニーク性を保証することができる。