3.MANDATEプロジェクト
《Managing Negotiable Documents and Administrating Trade Electronically》
(1)MANDATEプロジェクトでの取組み
電子的なビジネスが実践されるにつれて、書類を使用した商取引に代わる電子的方法を作り出すためには、紙による書類を正確に模倣して電子的代替物に置き換えることは望ましくないことが分かってきたので、MANDATEプロジェクトでは、書類の機能が完全に複製される電子的な取引方法の開発を進めた。
書類には、情報伝達手段としての機能と書類の物理的存在そのものが重要な商業上の機能を果たしているもの(証書としての書類)がある。後者の機能を達成するためには、書類にユニーク性が必要となるが、電子的環境においてユニーク性を保証する方法として、MANDATEプロジェクトでは、「委託第三者(TTP:Trusted Third Party)」の利用を提案している。
TTPが無条件の委託第三者的な役割を果たす場合には、取引全体にアクセスを持ち、取引のあらゆる側面を証明することになる。そして、ユーザの役割を代行し、ユーザに代わって取引の実際の記録を管理するが、ユーザの支配外の存在となる。
ところで、TTPは、流通性書類の等価物の継続的な権利所持人の登録機関としての役割を果たすことになるが、事業の実施に多大な費用がかかることになるほか、商取引に関する信頼性と中立性をユーザに保証することが困難であるという商業的な欠点もあると指摘している。
(2)MANDATE解決策の探究
MANDATEプロジェクトの目的は、技術的に効果のある流通性書類の電子的代替物を確立することにある。また、この代替物は、EU加盟国の法体系の要件を満たすものでなければならない(他の法体系の下での使用には、さらに、検討が必要である)としている。
そして、このプロジェクトでは、法的・技術的な問題点の解決策の組み合わせが要請され、低コスト、高信頼性が確保されなければ受入れられないことになるとしている。