日本財団 図書館


以下の記述においては、「船荷証券の危機」問題への対処方策として検討されたこれらの諸施策の概要及びその問題点等について、概要、説明をする。

 

3.保証渡し

(1)保証状の差し入れによる運送品の引渡し

「船荷証券の危機」といわれるような事態を解決するために、船荷証券が未着の場合、荷受人が船会社に一切迷惑をかけない旨を約束する保証状の差し入れと引換えに、船会社が船荷証券の提出を受けることなく、運送品の引渡しをするいわゆる「保証渡し」が、実務的に広く行われている。

 

船荷証券は、運送品の引渡請求権を表章し、物権的効力のある有価証券であるので、船会社は、船荷証券を提出した者に対してのみ、運送品を引き渡す義務を負う。このため、船荷証券の提出なしで運送品を引き渡した後、正当な権利者が船荷証券を提出して運送品の引渡を要求した場合には、船会社は、運送品を取り戻して引き渡さない限り、損害賠償の責任を負うことになる。

このため、保証状(Letter of Guarantee)には、『船荷証券と引換えなしに運送品を引渡したことにより船会社が損害を被れば、荷受人がその損害を補償する。』旨が記載されている。

 

(2)「保証渡し」の問題点

「保証渡し」は、「船荷証券の危機」問題への対処方策として、実務的に広く行われているものであるが、船荷証券の提出を受けることなく運送品を引き渡すことによって船会社が負担することとなるリスクには、大きなもののあることが指摘されている。

 

つまり、船荷証券は、海上物品運送契約による運送品の引渡請求権を表章(化体)する有価証券であるので、船会社は、船荷証券を提出した者に対してのみ、運送品を引き渡す義務を負うものとされている。仮に、船荷証券の提出を受けることなく運送品を引き渡した後、正当な権利者が船荷証券を提出して運送品の引渡を要求した場合には、船会社は、運送品を取り戻して正当な権利者に引き渡さない限り、損害賠償の責任を免れることができないことになる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION