車で病院に搬入一命をとりとめた。
○新潟県支部山北救難所
平成8年8月3日午後9時30分頃、新潟県寒川海水浴場に遊びに来ていた専門学校生T(18才)が、潮流のため沖合に流され、浮環に捉まったまま漂流、救助を待つのみとなった。
海岸で同人を見失った友人は、付近を探したが暗やみのため発見できず消防本部に通報した。消防本部から通報を受けた救難所長は、夜間でもあり、繁急を要すると判断し、直ちに所員を呼集、所長所有船ほか4隻に分乗し出動、夜間捜索を開始した。
まず、同海水浴場を重点とし、付近海域を所長指揮のもと、互いに連絡を取りながら捜索を実施した。夜間漂流者の捜索は発見が難しく、また、捜索船が漂流者をプロペラで巻き込む危険性もあり、捜索は困難を極め、所長以下全員が注意深く実施し、潮の流れなど判断し、仕事(漁師)の勘を働かせ捜索した結果、 3時間経過した翌日の午前0時10分頃同海水浴場の沖合約1.5キロの海上で浮環に捉まって意識朦朧としていた漂流中の同人を発見し、無事船内に収容救助した。
○濱本喜和雄
(新潟県支部相川救難所顧問)
平成9年3月4日午前6時45分頃、佐渡ヶ島一里島灯台の西方約500メートル沖を相川漁協所属漁船「栄伝丸」(1人乗り)が航行中に、突風と横波を受けて船体が大きく傾斜し、そこから海水が大量に浸水したため、船体は瞬時に転覆した。
海上に投げ出された乗組員は、必死で転覆した栄伝丸船底に這い上がり、船底の上で救助を待っていたが、発生時は日の出前であり、加えて暗雲がたちこめ、みぞれが降り視界が悪く、西南西の風12メートル、波高3メートルと悪条件の気象状況であった。
現場付近を帰港中の僚船「むつ丸」(濱本事和雄乗組)が転覆船を発見し、直ちに現場に向かった。現場付近は大時化状態となっており、自らの船体も大きく動揺傾斜し、危険な状態にもかかわらず、勇猛果敢に転覆船に接近し、風上からロープを投入したが、船底上の遭難者は心、労と疲労により身動きできずロープをつかみとることができないため、卓越した操船技術を駆使して激浪下風下側へまわり、転覆した船底に自船の船首部を乗り上げるような形で接舷し、 1人のため救助作業は困難を極めたがやっと自船の船内に吊り上げるように収容し、無事救助した。
救助した直後、転覆船栄伝丸は沈没し間一発であった。
○高知県室戸救難所
平成8年5月7日午前6時頃、室戸岬の南6海里の漁場で室戸漁協所属の漁船信漁丸(1人乗り)が操業していたが、当時同海城は低気圧通過に伴い、天候は悪化し、北よりの風10〜15メートル、波高2〜3メートルとなっていたので、ほうぼう漁の操業を中止し帰港しようとした時3メートルを超す横波を受け、漁船は瞬時に転覆し、同船長は海中に投げ出され、自分が使用していたクーラーに捉まり、強風による波しぶきを受けながら漂流していた。
同日午前6時15分頃、同海域を通りかかった漁船繁栄丸(船長丸本清春)は、クーラーにつかまり漂流している