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カレーターの設置等、障害者の利用に対する配慮が行われてきたことろである。既存施設については、エレベーター設置のために土地の買収等を必要とするケースが多いことから、その改善が困難な状況にある。また、リフト付きバスについても、バス運行事業そのものの経営状況が良くないという事情がある。しかし、こうした施設やバスの運行についても、障害者の利用を拡大するとの観点から、計画的に整備・改善を進めなければならない。このため、地域の交通実態、障害者の利用の状況、交通事業者の経営実態、施設・設備の整備に当たっての構造上の問題等を総合的に勘案し、施設整備や障害者の交通手段確保に当たっての達成可能な目標を定め、これにしたがって計画的かつ効果的に整備を進めていく具体的な方策について検討を進める。

? 障害者に配慮した交通ターミナルにおけるガイドラインについて適切な見直しを行う。その際、視聴覚障害者の安全確保や音声による誘導等に充分配慮するとともに、バスにおける障害者に対する配慮等に努める。また、各省庁や地方公共団体において独自に定めているガイドラインについて、必要に応じ統一化を図る。

? 交通ターミナルにおける障害者、特に視聴覚障害者に対する適切な情報提供、駅員による適切な対応や介護体制充実等、障害者の利用を容易にするソフト面での配慮を一層充実させる。

? 道路については、幅の広い歩道等の整備、歩道等の段差の適切な切り下げ、利用しやすい立体横断施設の整備、視覚障害者用誘導ブロックの敷設を進めるとともに、視覚障害者用誘導ブロック上への自転車放置の防止、電線類の地中化等、障害者が安全で快適に歩行できる空間の確保に努める。また、信号機への視覚障害者用付加装置の整備等、交通安全施設における障害者の利用に対する配慮を一層進める。

? 改造自動車購入の援助、ガイドヘルパー等、各種の移動・交通手段サービスの普及・充実に努める。

? 都市における障害者等の快適かつ安全な移動を確保するため、街区内におけるエレベーター、スロープ、動く道路等の移動システムの整備及びこれと連携した利用しやすい立体横断施設や幅の広い歩道の整備等の関連道路事業を推進する。

? 障害者が安心して移動するためには例えば交通ターミナル等の利用者が障害者に対し進んで必要な援助を行う等、社会全体の理解と協力が重要であり、そうした環境づくりを推進する。

 

4 情報提供の充実

障害者、特に視聴覚障害者は、その障害により情報の収集、コミュニケーション確保に大きなハンディキャップがある。的確かつ充分な情報の収集やコミュニケーションの確保は、障害者の能力を活かし、自立と社会参加を促進するために不可欠である。

情報提供の充実は、次のような基本的方針に沿って行う。

? 放送事業者の協力も得て、文字多重放送、音声多重放送の活用等、視聴覚障害者に配慮した放送番組の一層の充実を図る。また、点字図書、字幕付きビデオ等、視聴覚障害者に対する情報提供サービスの充実を図る。

? 選挙における基本的な権利行使に当たり障害者の特性に配慮した充分な情報提供が行われるよう配慮するとともに、病院での治療等、命にかかわる場合における手話通訳の派遣を充実すること等により、最低限必要なコミュニケーションを確保するための各種措置を講ずる。また、公共サービスにおいて点字、録音物等による広報を行い、窓口で手話ができる職員を育成する等、障

 

 

 

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