3. 障害者対策に関する新長期計画より「生活環境」
一建築物、道路、交通ターミナル等における物理的な障害の除去、情報収集、コミュニケーションに当たってのハンディキャップの軽減を図ること等の生活環境面における各種の改善は、障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための基礎的な条件であり、一層の改善を図ることが必要である。こうした生活環境面での改善の推進は、政府、地方公共団体、民間事業者、国民が一体となって取り組むべき課題である。
障害者の利用に配慮した各種の施設・設備の整備等、障害者に対する各種の措置が普遍的に講じられていくためには、これらの措置が障害者のための特別な措置として講ぜられることは適当ではなく、一般的な措置がそもそも障害者に対する配慮を前提として行われる必要がある。こうした基本原則ではどうしても対応できない場合に限って、障害者に対する特別な措置として講ぜられる必要がある。
また、障害者の利用に配慮した施設整備等、障害者に対する各種措置の実施に当たっては、ハード面での整備に加えて、民間業者を含めた国民全体がその必要性に対する理解を深め、社会的に支持し、協力することが非常に重要である。こうしたソフト面での改善は、ハード面での整備を補うだけでなく、ハード面での整備を進めていくための基盤でもある。このため、学校教育における青少年期からの意識の啓発、一般市民に対する啓発広報活動への積極的取り組み等により、市民意識の高揚を図ることが必要である。
さらに、障害者に対する各種施策相互の調和を図り、総合的に見て障害者が住みよい社会の実現を図っていく必要がある。例えば、今後の福祉行政の担い手である各市町村における、障害者の住みよい街づくりを行う事業等の推進を図るとともに、特定の地域を選び、建築物、道路、交通ターミナル等にわたる総合的なモデル街づくりの実施についても検討を行う必要がある。
現実問題として、障害者の利用に配慮した施設・設備の整備等、生活環境面での改善を進めることは、民間事業者にとって負担増の要因となっており、こうした負担増を民間業者だけで負担することには実際上の困難がある。このことが、障害者の利用に配慮した各種の施設・設備の整備等が進まない主要な原因となっていると考えられる。他方、こうした整備等を国、地方公共団体の補助金のみで賄うことは、その財政上の制約から、限定的な福祉的措置とならざるを得ず、その普遍的な整備等を図っていくことは困難である。このため、こうした費用は、社会全体で負担することが必要であり、民間事業者、国民一般が社会連帯の意識に基づき負担していくよう、その啓発に努めるとともに、これらの事業を支援するため、補助金、融資等における必要な措置について検討を行う必要がある。
1 建築物の構造の改善
建築物における物理的な障害の除去等の障害者の利用に対する配慮は、障害者の自立と社会参加を促進するうえで不可欠である。ノーマライゼーション理念の具現化のためには、障害者の利用を充分可能とするという方針に基づいて施策を進めていくことが必要である。
建築物の構造の改善は、次のような基本的方針に沿って行う。
? 障害者の利用に配慮した建築物の整備を積極的・効果的に推進していくために、できる限る法律又は条例によりその実施を担保するよう努める。
? 国又は地方公共団体の設置する建築物については、障害者の利用に対する配慮を行うことを原