は、その中の成年者に関する規定を整備するものであり、未成年者の行為能力、後見等については基本的に現行の規定を維持するものであることを考慮すると、法制的な体系のみならず、立法技術の観点からも、成年者に関する規定のみを民法典から外すのは適当ではない。
(3) 禁治産・準禁治産制度の整備の在り方
成年後見制度を利用しやすいものにするための方策として、次のア〜エの各論点等について検討がされた。
ア 三類型の制度化と弾力化等―新類型の創設と現行の二類型の弾力化等
「本人保護」の理念と「自己決定の尊重」の理念との調和を旨として、各人の多様な判断能力及び保護の必要性の程度に応じた柔軟且つ弾力的な措置を可能とする制度を設計するために?軽度の老人性痴呆、知的障害、精神障害等を対象とし、保護の内容(代理権又は取消権)及び対象行為の範囲を当事者の選択にゆだねる新しい保護類型として「補助」類型(仮称)を創設するとともに、現行の二類型に相当する各保護類型の内容を弾力化し、?現行の準禁治産類型に当する「保佐」類型(仮称)に関しては、同意権の対象行為について保佐人に取消権を付与した上で、代理権の設定及び範囲を当事者の選択にゆだね、?現行の禁治産類型に相当する「後見」類型(仮称)に関しても、日常生活に必要な範囲の行為については専ら本人の判断にゆだねて取消権の対象から除外することとし、次の三類型を制度化すべきであるとするのが、本研究会のほぼ一致した意見であった。
? 補助類型(仮称)―――新設の類型であり'、心神耗弱には至らないが判断能力が不充分なために保護・支援を必要とする者(軽度の老人性痴呆・知的障害・精神障害等の状態にある者)を対象とし、申立てにより、特定の法律行為について補助人に代理権又は取消権を付与することができる(代理権のみの付与も可能とする)ものとする(本人の自己決定の尊重の観点から、取消権を付与する場合には本人のみに取消権を付与するものとすることの適否について、なお検討する必要があると思われる)。
このように、当事者の選択による一部代理権等の設定を可能とすることにより、自己決定の尊重の理念にそった柔軟且つ弾力的な保護措置を制度的に担保する。本人の自己決定の尊重の観点から、本人の同意又は申立てを要件とする。
? 保佐類型(仮称)―――現行の準禁治産類型に相当する類型であり、心神耗弱者を対象とし、現行通り民法12条1項所定の法律行為(借財、不動産の処分等)に関する同意権が保佐人に付与されるが、新たに、本人保護の実効性の観点から、同意権の対象となる法律行為について保佐人に取消権を付与するとともに、申立てにより特定の法律行為について保佐人に代理権を付与することもできるものとする。このように、当事者の選択による'部代理権の設定を可能とすることにより、自己決定の尊重の理念にそった柔軟且つ弾力的な保護措置を制度的に担保する。本人の自己決定の尊重の観点から、代理権の付与は、本人の同意又は申立てを要件とする。
? 後見類型(仮称)―――現行の禁治産類型に相当する類型であり、心神喪失の常況にある者を対象とし、本人保護の実効性の観点から、基本的には全面的な代理権・取消権が後見人に付与されるが、新たに、本人の自己決定の尊重(残存能力の活用)の観点から、日常生活に必要な範囲の行為については、専ら本人の判断にゆだねて取消権の対象から除外するものとする。
以上の通り、本研究会の三類型に関しては、(a)本人の判断能力の程度に応じて一応3つの類型への振り分けを行った上で、各類型の中で各人の判断能力及び保護の必要性の程度に応じた