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Q-18 最近、障害を持つ子供が、親の死後、その財産や社会的地衣を保っていくためのものとして成年後見制度というものができそうだということを耳にしました。

うちの場合も、私も妻ももういい年になり、自分遣の死後のことが心配です。できれば、財産贈与やその管理、それに施設に強制的に入所させられてしまうのではないか等、いろいろなことが気になって仕方ありません。本当に安心できる内容の制度なのがこの機会に是非とも知っておきたいので、できるだけ詳しく教えて下さい。

 

A この方の質問は、今話題となっている「成年後見制度」の見直しについてです。

この制度の見直しについては、現行民法の禁治産・準禁治産制度に対し、「本人の保護」の理念と「自己決定の尊重」の理念との調和を図るという必要性が生じているという時代の要請から、法務省が中心となって推進しているもので、現在のところ、以下のような経緯と予定になっています。

平成7年6月 法制審議会民法部会:成年後見制度を次期検討課題として決定する。
7月 法務省民事局区内に「成年後見問題研究会」を設置する。
9年9月 法制審議会民法部会:「成年後見小委員会」を設置するとともに、その報告書を公表する。
10月 「成年後見小委員会」の審議を開始する。
10年春頃 要綱試案の公表・関係各界に対する意見照会を行う。
11年春頃 要綱の答申をし、通常国会に法案を提出する。

また、平成9年9月30日に行われた成年後見間題研究会の報告書の概要を以下に記しますので、参考として下さい。

 

1. 成年後見制度の見直しの必要性

成年後見制度は、判断能力の不充分な成年者(痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者等)を保護するための制度であり、現行民法上は、禁治産・準禁治産制度及びこれを前提とする後見・保佐制度が設けられている。

現行の禁治産・準禁治産制度は、「本人の保護」の理念に重点を置きつつ、取引の安全の保護にも配慮した制度であるが、今日では、種々の観点から利用しにくい制度となっているとの指摘がされており、柔軟且つ弾力的な利用しやすい制度に対する社会的な要請が高まっている。欧米諸国においても、年、各国の実情に即した成年後見立法が相次いでおり、このような内外の状況を踏まえて、「本人の保護」の理念と本人の自己(自立)の尊重、本人の残存能力の活用、ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるような社会をつくるという理念)等の新しい理念との調和を旨とする法改正の必要性が提唱されている。

 

 

 

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